- 360度評価をどうやって運営したらいいか分からない
- 360度評価の運用が上手くいかない
といったお悩みを持つ方に向けて、
この記事では、360度評価を採り入れた評価制度の事例を6社厳選してご紹介します。
- これから人事評価制度の構築を検討している
- 360度評価の導入・改善を考えている
- 他の企業では、360度評価をどのように運営しているのか知りたい
しろくま先生
360度評価とは
360度評価とは、上司、同僚、部下、自己で評価を行う評価制度です。四方から評価することで、主観的・客観的な評価が可能です。評価内容は企業それぞれ異なります。
360度評価のポイント
しろくま先生
- フィードバックしやすいように質問はシンプルに設問形式
- 評価者は「業務で関わったことがあるひと」「被評価者が選ぶ」事例もある
- 評価と紐付けない・他の評価方法と組み合わせる事例もある
- オープン・フラットな企業が採り入れている
UZABASE(ユーザベース)の360度評価の事例
しろくま先生
― 評価というところで言うと、どのようなオペレーションで行なっているのでしょうか?
バリュー【Value】・エッジ【Edge】・エグゼキューション【Execution】という3つで整理して評価しています。
主に評価としてみているところがバリューです。各タイトル(アソシエイト~マネジメントディレクター、ボードメンバー)に応じて、7つのルールに対してどんな行動がとれるのかを定めています。
エッジとは、その人独自の際立った能力を評価することです。エンジニアなどの職だとわかりやすいですね。ユーザベースでは、ひたすらエッジを磨くキャリアをよしとしています。
その最たる例が、イノベーション担当 執行役員である竹内でしょうか。彼に求められているのは、技術一本。マネジメントは一切しなくていいというスタイルです。彼がR&D的に生み出すものが、イノベーションにつながるはずだという考えのもと実践されています。
そして最後に、エグゼキューション。「ひとつの業務領域を、PDCAを回しながら、いかに高速回転させ、自身の責任下でお客様に価値を提供できるのか。」いかにミッションを履行・達成したかという点です。
さらに複眼で見ることを重要視していて、360度評価も勘案しています。
― 360度評価は多くの企業で採用されていますが、名ばかりというか、それをどう評価に組み込むかの運用が難しいという話をよく聞きます。
ユーザベースでは質問事項をものすごく単純にしているんです。
質問項目はたった3つだけ。良い点と改善点、そして「その人のランクを自分で決めるとしたらどれですか」と。
周りくどいことをせず、直球で他者の評価を聞けることはすごく発見が多いです。
あ、あとエンジニアチームはすべてその結果を氏名付きで共有しています。普段の業務で言い合える仲なんだから、評価の時だけ恥ずかしがってもしょうがないでしょって(笑)。エンジニアは技術という、わかりやすい指標があるので、裏も表もないし、それ以上でも以下でもない。そういうところにも自由さというかオープンなコミュニケーションが根付いているのかもしれません。
参照:https://careerhack.en-japan.com/report/detail/305
VisasQ(ビザスク)の360度評価の事例
しろくま先生
半期に一度のレビュー(人事評価)時、本人が希望する上司以外の社員から、記名式フィードバックをもらい、多角的な視点で自身を振り返ることを通じた「自律的成長」を促しています。
参照:https://visasq.co.jp/archives/8903
-ピアコメントとはどのようなものですか?
ピアコメントは、上司だけじゃなくてチームメンバーとか全く違うチームのメンバーからフィードバックを贈り合うものとして以前から運用されていました。
エンジニアとビジネスの距離も近く、職種を跨いだフィードバックも活発ではあったのですが、フィードバックの記入体裁が自由コメントのような形で、何を書いていいか分からないとか、なかなか書きづらい、というような声が上がったので、自由コメントではなく、具体的な設問形式にしたのが、今のピアコメントです。
このピアコメントの目的としては、相手の良い部分を褒めるという純粋なものから、ポジティブな面でも、ネガティブな面においても、上司からは見えていない箇所に指摘をもらい、改善に活かすことをゴールとしています。
参照:https://atengagement.com/torisetu/visasq/
FreakOut(フリークアウト)の360度評価の事例
しろくま先生
- フィードバックするのは業務で関わったことのあるメンバーのみ
- 評価には紐付けない
- 記述式でフィードバックを受ける本人には匿名
という点が特徴的だよ!
360°フィードバック自体は目新しいものではないかと思いますが、フリークアウトでは各人のストロングポイントの強化を目的とし、『ネガティブな回答や短所は指摘しない』という、フリークアウト独自のアレンジを加え実施しました。
参照:https://www.wantedly.com/companies/freakout/post_articles/316613
概要(特徴)
FBの主な特徴は以下になります。
①各々が上(上司)・横(同僚(後輩含む))・下(部下)・斜め(仕事で関わる他部署メンバー)からFBを受ける
「具体性をもったFB」を得るため、FBを受ける相手は、業務で関わった事のあるメンバーに限定
②評価には紐付けない
今回の目的(大事にしたいポイント)との親和性から評価に紐付けないことを決定
③具体性をもったFB
強みを認識させるだけでなく、ネクストアクションにつながる具体性をもったFBを書いてもらう
回答方法
FBの回答方法について、上記概要の中でも特に③の実現のためどのようなやり方が最適か議論を重ね、決定しました。
①択一ではなく記述式に
抽象的な回答をさせないために記述式の回答方法に決定
また、ネガティブFBを回避するために、ガイドラインや回答例を明示
②業務に支障のないよう、1人あたりのFBを10分程度で書けるシンプルな内容に
対象者の強みは何?その理由は?さらに伸ばすには何が必要?の3つの設問に決定
③本人へのFBは匿名に
まだ1回目の実施ということもあり、多少の遠慮が入ってしまう可能性も高いため、本人へのFBは匿名に
参照:https://www.wantedly.com/companies/freakout/post_articles/316613
Bellface(ベルフェイス)の360度評価の事例
しろくま先生
現在は年に一度、社員1人ひとりがキャリアシート(職務経歴書)を作成しています。それを外部パートナー3社に提出して、「その人が転職した際に、同業界・同職種でもらえる報酬レンジ」を見積もりいただく。その上限額を平均する形、つまり業界最高水準の報酬が、給与のベースとなります。
ただ、これだけでは「会社として従業員にどう在ってほしいか」を伝えることができません。そこで市場評価に加え、バリューの体現度に基づく「バリュー評価」と、目標に対する達成度合いに基づく「ミッション評価」を報酬に反映しています。
まずバリュー評価は、上長を含む6名からの360度サーベイで行われています。評価者は、バリューに対してそれぞれ1〜4の4段階で評価をつけ、上長のみ2倍の比重でスコアを合算します。その合計値で、全社員を相対評価で5つのランクに分類し、それを元に報酬の加減算を行います。
一方のミッション評価については、目標に対する達成度合いに応じてS〜Cの4段階でランクづけして、それを元に給与が加減算される形です。
例えば、市場評価800万円の人が、バリュー評価でS、ミッション評価でAだった場合は、800万+80万(+10%)+40万(+5%)=920万円といった形ですね。
参照・https://seleck.cc/1424
Atrae(アトラエ)の360度評価の事例
しろくま先生
水谷:アトラエさんの評価制度についてです。人事制度には等級がある会社が多いですが、等級がない、かつ評価は360度評価でやっていると。
新居:もともと360度評価が良いかどうかっていう概念は、僕の中で疑問もたくさんあるので、360度評価が良いですよというわけではないんです。
ただ上下関係がないので、評価者と被評価者という区分は、あまり僕らの会社においては正しくない。「結局評価者って上司でしょ」となるので、そこに目線がいっちゃうと、やっぱりアトラエらしくないよねと。
じゃあどうするっていうと、まず周りの人に評価してもらえばいいんじゃないかという話になりまして。「それっていわゆる360度評価だよね」と決まっていきました。
被評価者が評価者を5人選んで評価をつけてもらっています。5人というのは、そのくらいがいいんじゃないかというだいたいの感覚です。
その評価者は全員後輩にしたらバランス悪いよね、でも全員先輩だと重いよね、うちの社長はエンジニアの技術分からないから社長に評価されるのはなぁということであれば社長を外してくれと。
それでいいなと思っています。評価してほしい、自分のことをちゃんと見てくれているだろうという人に評価してもらえばいいんじゃないかということで、5人選んでその人から評価をしてもらう方法にしました。
どういう人を評価すべきかという評価の軸はちゃんと持っておかないといけないので、技術力が高ければいいのか、技術は低いけどプロセスに注力しているから評価すべきなのかなど意見が割れちゃうので、会社としての評価軸はそろえています。
それに基づいて、この人はどこに当てはまるのかということを皆が評価しています。今それをちょっと進化させようと、社員でワーキンググループをつくって、もっと良い方法がありそうということを前提に今作り替えようとしています。
参照:https://hrnote.jp/contents/b-contents-composition-aresugo10-190202/
GMOインターネットの360度評価の事例
しろくま先生
弊社には、「ガラス張りの経営」という経営ポリシーがあり、役員の目標と評価、報酬をはじめ、社内の会議室内まで、あらゆる部分を可視化しています。これに基づき、スタッフにおいても人事制度として「役割等級」を導入し、等級は1~6の6段階、さらに各等級を複数のランクに分け、すべてのスタッフの等級・ランクを開示。同時に、各役割等級の給与額もオープンにしています。つまり「Aさんは○級の□ランクで、給与がいくら」ということまで見えることになります。
ただし、これはあくまでも、その人の役割をオープンにするという考え方です。このような制度の下で、スタッフ一人ひとりが本当に自らの役割を担えているかどうかを客観的に判断する材料として360度評価を実施しています。
参照:https://360do.jp/case_studies/view/1