エンジニアの人事評価制度の事例6選|スキルの高いエンジニアを公平に評価・育成するには?

  • エンジニアの評価が難しい
  • エンジニアの評価に納得感がない
  • 優秀なエンジニアが退職してしまう

といったお悩みを持つ方に向けて

この記事では、ベンチャー企業で採り入れているエンジニア職の評価制度の事例を紹介します。

こんな人におすすめ!
  • エンジニアをどう評価したらいいのか分からない
  • エンジニアの評価制度に納得感がない
  • エンジニアの評価をどう給与に反映したらいいのか分からない
  • ベンチャー企業のエンジニア職では、どんな人事評価制度を運用しているのか知りたい
記事を読み進める前に...
評価制度の構築・見直しを依頼したい方は以下の記事も読んでみてください!依頼する前にチェックすべき準備ポイントや依頼先の選び方を解説しています。

しろくま先生

評価制度に関するインタビュー記事をもとにベンチャーのエンジニア職では、どんな評価制度を導入しているのかやその効果を説明しているので、最後まで読んでもらうとエンジニアの評価制度の構築に参考になる情報を知ることができますよ!

エンジニア職の評価制度のポイント

しろくま先生

まずは結論から。6社を調べてみると、以下の2点が共通していたよ!それぞれ事例をもとに説明するね!
POINT
  • スキル・能力を中心に評価+成果・行動
  • エンジニアの技術的な評価はエンジニアが行う

Smart News(スマートニュース)の事例

Smart News公式HP
https://about.smartnews.com/ja/

しろくま先生

スマートニュースのエンジニアの評価制度では、スキルを給与に、成果をボーナスに反映するのが特徴的だよ!
技術力が求められるエンジニアでは、スキルに見合った給与をベースとすることで、スキルの高いエンジニアが活躍できる組織を実現しているんだね!

ペンギンくん

天野氏:組織をプロフェッショナルの集まりにしたいなら、組織デザインと並んで評価制度が大切だと思います。スキルの高いプロフェッショナルほど、マネージャの主観や、組織の都合、目先の課題で評価が決まることを嫌います。

弊社では、現状エンジニアの評価をスキル(技術力)、アクション(成果のためにとった行動)、リザルト(成果)の3つで行っています。

大谷:それはどういうことでしょう?

天野氏:弊社では、報酬を給与とボーナスで分けて考えています。給与に反映されるのはスキルです。ボーナスにはリザルトが反映されています。

スキルと給与のミスマッチが、会社の文化にとってよくないことはご存知の通りだと思います。プロフェッショナルは自分の価値が正当に評価されないことを、好ましく思いません。だから給与は基本的にスキルで決める。

ただ、それだけだと達成した成果はどうなるの? という疑問が生まれるので、成果はボーナスに反映させています。同じスキルレベルでもアクション次第で成果は異なりますよね。成果はボーナスで返しつつ、スキルの高い人はちゃんとスキルに見合った給与をもらっている。そういう市場価値に応じたフラットな評価制度を取り入れています。

僕の目標としては、最終的にグローバルな市場の水準の報酬を目指したい。そのために、スキルの高いエンジニアが活躍できる組織を作り、企業価値を高めて報酬の水準を上げたい。その結果、採用候補者に「スマートニュースは市場価値の高いエンジニアを採用しているんだ」と捉えてもらえたらいいですね。

参照:https://offers.jp/media/hr/a_1888#outline-3

MIIDAS(ミイダス)の事例

ミイダス公式HP
https://miidas.co.jp/

しろくま先生

ミイダスもスマートニュースと同様に能力をベースに評価しているよ!
81段階・20万円刻みの等級・給与制度で、スキルを伸ばせば短期間でも年収が上がるようになっているのも特徴的だね!

ペンギンくん

今回お伝えしたい開発組織の評価制度の大きな特徴は、「成果だけではなく、能力で評価する」部分です。

ここでいう「能力」というのは、それぞれの職種としての能力です。エンジニアであれば主にコーディングスキル。見やすい、拡張性があるなどといった観点です。

私自身エンジニアとして働いていた経験から、エンジニアの仕事は他の職種とは違い、必ずしも結果に直結しないことも数多くあると感じていました。

例えばフルスタックでとても優秀なエンジニアに、「今のフェーズではこれをやってほしい」と誰でもできるようなタスクをお願いしたとします。すると、成果だけを見て評価が下がってしまうなんてこともあり得る。しかしその人には能力があるので、次のフェーズでは価値を発揮できるような業務をお願いしたいと思いますよね。

参照:https://www.wantedly.com/companies/company_6435340/post_articles/281007

「成果で評価しない」と聞くと不思議に思われるかもしれませんが、この評価制度には目的があるんです。それは能力のあるエンジニアがミイダスで永く働くメリットを提供し続けたい、という目的です。

そのために評価項目として「ミイダスに関する知識」もあります。この知識は自社サービスだからこそ活かせる知識なんですよね。ミイダスならではの仕様や仕組みの知識があるかどうかで依頼できる仕事も変わるし、範囲も広くなるので、きちんと能力として評価したいと考えています。結果として、長くいれば少しずつ評価が上がっていく形になっていますね。

参照:https://www.wantedly.com/companies/company_6435340/post_articles/281007

ーーー具体的に能力の有無はどのように判断するのですか?

基本的には職域のリーダーが評価者となりますが、主観に偏りすぎないようにリーダーが本人と面談をしたり、人事として私がチームメンバーにヒアリングして、評価材料を集めて総合的に判断します。一覧表みたいなもので機械的に点数やポイントをつけることはせず、全体を見ながら評価しています。

参照:https://www.wantedly.com/companies/company_6435340/post_articles/281007

ーー評価の結果はどのように反映されるのでしょうか?

半期年俸制なので、年収に反映されます。

今回の評価制度と共に変わった大きな特徴なのですが、昇級段階が20万円の刻みで81もあるんです元々は5〜6段階で、段階が上がれば大きく年収が上がるのですが、1段階あげるまでに2年程かかっていました。

能力で評価する際、段階が5〜6段で1回の昇級金額が大きいと「人って昨日と今日でそんなに違う?」と違和感を感じるときがあると思うんです。納得感を持って仕事をしてもらうために、あえて小刻みにしています

段階が細かいことで適正に判断でき、一気に2段階以上あげる飛び級もできますし、完成度の高い制度になったのではないかと思います。

参照:https://www.wantedly.com/companies/company_6435340/post_articles/281007

Retty(レッティ)の事例

Retty公式HP
https://corp.retty.me/

しろくま先生

Rettyのエンジニア職の評価制度では、MBO(目標管理制度)と360度評価を採り入れていたみたいだよ!でも、エンジニア職ならではの壁もあって改善していっているんだね

2018年当時、Rettyではエンジニアへの評価を個人目標とPeerReviewによる成果評価のみで行ってきました。
(PeerReviewとは360度評価とも呼ばれており、匿名で同じチームや別のチームのメンバーからRettyの行動規範(弊社ではRettyWayと呼称)についての評価をしています)

それらの評価方法に対して、エンジニアは以下のような理由で評価のたびにモチベーションが下がるといった想いを持つ人が出始めていました。

・エンジニアの現場のことをわかっていない人からのFBがつらい
・匿名によるPeerReviewの納得感の薄さ
・保有しているスキルとそれを発揮できる実務にギャップ
・Developer Experienceや仕組み化、負債解消といったところの成果に対する評価がない
・具体的にどう改善(成長)していったら良いのかがわからない
・一方通行でしか評価を受け取れず、アピールする機会がないことによる納得感の薄さ

参照:https://engineer.retty.me/entry/2020/04/15/090000
参照:https://engineer.retty.me/entry/2020/04/15/090000

取り組んだこと

解消した課題は サービスグロースのKPIにおける貢献成果だけで評価されることの違和感 をなくすことでした。

そのために、エンジニアの評価をエンジニアが行うようにエンジニアFBという制度をはじめました。

参照:https://engineer.retty.me/entry/2020/04/15/090000

これまでの評価シートと評価結果シートでは半期に何をやったか、ということにフォーカスしており成長に関してフォーカスできていませんでした。 そのため、その人が仕事を通してどういったところで成長したのかを具体的な仕事のエピソードを交えて書いてもらう、というように変えました。

新たに生まれた課題

成長に向けた評価を得られた一方で評価への影響が限定的なため、時間をかけてFBをやるモチベーションが湧きにくいといった課題もあがってきました。

参照:https://engineer.retty.me/entry/2020/04/15/090000
エンジニアの知識を持った人からフィードバックをもらい、納得できるようエンジニアがエンジニアを評価するようになったんだね!

ペンギンくん

しろくま先生

そうだね。さらにフィードバックの内容を「成長」にフォーカスしたけれど、そのフィードバックを受けて改善したことが評価に繋がらないという問題が発生して、成果重視からコンピテンシー(行動)に変更したんだね!

LIVESENSE(リブセンス)の事例

LIVESENSE公式HP
https://www.livesense.co.jp/

しろくま先生

リブセンスのエンジニア職もRettyと同様にエンジニアがエンジニアを評価しているみたいだよ!
エンジニアの知識を持った人が評価することで、年齢にかかわらず、優秀なエンジニアを高く評価することができるんだね!

ペンギンくん

それまで当社では、エンジニアもほかの職種も同じ評価方法でした。そのため当時は、売り上げに直結するような成果が評価されると思われており、公平な評価基準が浸透していませんでした。

そこで、2017年頃にエンジニアの職能責任者(VP of Engineering)が中心になって「Band制度」を職種ごとにカスタマイズしました。これにより、「エンジニアがエンジニアを評価する体制」が構築され、職種に応じた評価が明確になったのです。

Band制度では、成長段階に応じて求められるミッション・基準などを9段階で定義。 スタッフクラスが4段階、プロフェッショナルクラスが5段階あり、それぞれの段階に合わせて評価をしていきます。 プロフェッショナルクラスのエンジニアは、自分の得意領域やこれから伸ばしたいスキルの方向性に合わせて、プロダクトやチームのマネジメントをしたり、1つの技術領域に対して全社をリードしたりする役割を定義することで、納得感のある評価が得られるようにしています。

評価は、上期、下期それぞれに最低3回の面談を経て決定されます。期初めに目標設定を行い、中間で目標の達成度を確認。期末に半年間の振り返りをします。

目標設定は、大きく分けて「成果目標」と「行動目標」の2つ。成果目標は、目標に対する到達度です。例えば、いつまでにこういうプロジェクトを開発してリリースする、会員登録数を20%アップするといったものです。行動目標は、リブセンスの従業員が大切にしているポリシーである、発想・協働・徹底の3つの軸に対し、それぞれどんな行動をとれたかというものです。この2つの目標の掛け合わせで評価していきます。

このBand制度に年齢は関係なく、入社何年目でどのクラスになるといった目安もありません。新卒2年目でも優秀な成果を出した人には、チームのリーダーを任せています。当社には、20代でリーダーを任されている人が非常に多いです。

これはエンジニアがエンジニアを評価する体制を構築していることから実現しています。売り上げに直接繋がらなくとも技術的に価値があるパターンや、時間がかかったものの非常に難易度の高い取り組みを実現したパターンなどにおいても、この制度であれば適切に評価できるのです。

この制度になってから2年が経ち、面談以外にもこまめに意思疎通を図っているため、自分の評価に納得がいかない、といった不満が出ることは少なくなっています。

参照:https://report.jobtalk.jp/interview/detail/id=548

Gunosy(グノシー)の事例

Gunosy公式HP
https://corp.retty.me/

しろくま先生

グノシーでは、エンジニアを所属チームのマネージャーと、チームのエンジニアを束ねるリーダー的存在である「リードエンジニア」が評価するようにしているのが特徴的だよ!
近くで働きぶりをみているマネージャーの評価に、技術面に詳しいリードマネージャーの評価が加わることで、より納得感がある評価と戦略的なエンジニアチームの育成を実現しているんだね!

ペンギンくん

これまで、エンジニアの評価は所属チームのマネージャーが主体となって行ってきた。また評価の対象項目には、主に事業の成果と行動の2つがあった。

「これが現在では、マネージャーが評価を行う際に、リードエンジニアが技術的な面から相談を受けたり助言したりするようになり、より技術的な面に踏み込んだ精度の高い評価ができるようになっています。またリードエンジニアに対しては、事業部長とCTOの2人で目標設定と成果に対する評価を行っています」(小出氏)。

この目標設定の際、リードエンジニアにはCTOから「チーム内にある技術的負債をどうやって返却していくか」「メンバーの技術力を向上させるために、どのような取り組みを行うのか」といった具体的なテーマが出される。それに基づいて設定された目標を達成するために、リードエンジニアはチームのエンジニアを指導・育成していく。

こうした仕組みが確立された結果、従来の事業成果主体の評価ではできなかった、より戦略的なエンジニアチームの育成が可能になったと小出氏は言う。

「これまでは、どうしても事業の成長や収益に貢献できたかという側面から評価しがちでした。もちろんそれも重要なことですが、より強いエンジニアのチームを育てるためには、そうした短期的な成果だけでなく、チームやプロダクトがこの先も競争力を発揮していくために何が必要かという見方が不可欠です。そうした中長期的な戦略視点からの要求を、リードエンジニアというまとめ役を通じてチームに伝えていけるのは、新しい評価制度がもたらしたメリットの1つです」。

参照:https://thinkit.co.jp/article/17563

GSI(ジーエスアイ)の事例

GIS公式HP
https://glue-si.com/

しろくま先生

GSIのエンジニアの評価制度では、OKRを採り入れていたけれど、エンジニア職には合わなくてコンピテンシー評価に切り替えたみたいだよ!

ーー2020年の10月から新しい評価制度のプレ運用とのことですが、どのような評価制度ですか?

GSIで働くエンジニアの「成長」にコミットできるような評価制度に整えました。いわゆる「コンピテンシー評価を取り入れた評価制度」という表現が一番しっくりきますかね。各階層ごとに求められる役割や能力があると思うので、そこを細分化して定義しました。

エンジニアとして能力を高めていく中で、今のマーケットでは何が求められていているのか、自身に何が足りていなくて、どんな経験を積めばよいのか、そこが明確になるようにしています。また、一人ひとりの個性って異なってくると思うので、各エンジニアが「強み」を伸ばすことができ、「弱み」はみんなで補いながら少しずつ克服していけるような項目も取り入れています。

ーー従来の評価制度とは何が違うんですか?

従来はOKRでの評価制度だったんです。会社全体の目標を部・課に落とし込んで、そこに繋がる個人目標を自ら設定するという形を取っていました。勿論それでうまくいく企業もあると思うんですけど、うちの場合はまだそんなにうまくいっている感じがしてなくて。。。

あくまで個人目標になってしまうので、設定する目標は自身の価値観とかスキルレベルでしか設定することが難しい状況だったんです。設定する目標にも個人差が出てきてしまうし、明確な指標が無かったので、評価者も主観的に判断するしかなくて、あまりクリアな評価制度ではないんじゃないかと思っていました。

だからこそ、代表の工藤は勿論、他の役員や拠点責任者にも話を聞きながら、一度GSIが考えるエンジニアの「成長」に必要な要素を役割毎に細分化して、明確な定義のもと共通認識を持つように新しい評価制度を整備しました。

今は全拠点、同じ階層であれば同じ評価項目でやっているので、評価に公平性も保てますし、自分自身の立ち位置が明確になる分、具体的なゴール設定がしやすくなったんじゃないかなと思っています。

参照:https://www.wantedly.com/companies/glue-si/post_articles/294157

ーー実際の評価はどのようにおこなっているのですか?

正式な査定としては半期に1回実施していますが、その間にも中間面談を実施しています。ただ、中間面談といっても評価者とフラットな接点を持たせることを意識していて、評価を受けるエンジニア主体で、困っていることや不満・要望などを聞くような場にしていきます。

従来は、OKRで立てた個人目標の中間レビューという形で、進捗状況を確認する場にしていたのですが、それだと”上司”に対しての報告作業がメインになってしまうため、もっと寄り添い成長を促す場へと改善したいと思っていました。

上司にいくらでも相談してね!とは伝えていますし、実際にフランクに相談できる関係性は築けているケースが多いのですが、より親密度を高める意味でも、評価制度が切り替わった今回からはよりフラットな接点を持つ場として運用していく予定です。困った時に相談したいと思えるかは、“親密度”が重要だと思うので。

また、評価者に関しても、従来は全て課長職が1次評価を実施していましたが、主任の役職者から1次評価を任せるようにしました。より近くで普段の仕事を見ている上司が評価を付けてくれるようになるので、従来よりも公平性やリアルな評価に繋がっていくと思います。

また、自分が評価をする立場になることで、一層視座を高めることができますし相乗効果も狙っています。

参照:https://www.wantedly.com/companies/glue-si/post_articles/294157

しろくま先生

スタートアップ・有名ベンチャー・メガベンチャーの人事評価・評価制度の事例をまとめた記事もあるので読んでみてね!