労務業務とは?必要なスキル・向いている人は?10種類の業務を解説

会社の縁の下の力持ちとも言える労務業務について、どのような業務を行うのか知らない方も多いのではないでしょうか?

労務は、会社を正しく経営し、従業員が安心して働くために欠かせない業務です。

今回は、労務について、必要なスキル・向いている人・業務内容について解説します。

労務業務とは

労務業務では、労働環境の整備や、給料計算など、企業活動を円滑にするためのサポート業務を行います。

いわゆる裏方の仕事ですが、従業員が当たり前に安心して働ける労働環境を整えるための重要な役割を果たしています。

労務の業務には、主に以下の10種類があります。

  1. 勤怠管理
  2. 給与計算・手続き
  3. 社会保険料手続き
  4. 入退社手続き
  5. 労務トラブル対応
  6. 就業規則作成
  7. 福利厚生業務
  8. 安全衛生管理
  9. 合同労組への対応
  10. 助成金の手続き

労務に必要なスキル

労務に必要なスキルには以下のようなものがあります。

  • 専門知識(給与計算・社会保険に関する法律・労働基準法・労働安全法の知識)
  • コミュニケーション能力
  • 傾聴スキル
  • 社内人脈
  • 事務処理能力
  • トラブル処理能力
  • 情報収集力

など

より専門性の高いスキルを身に付け、キャリアアップしたい人には社会保険労務士の資格取得がおすすめです。

労務に向いている人

  • コツコツと作業ができる人
  • コミュニケーション能力が高い人
  • 守秘義務を守ることができる人
  • 学習意欲が高い人
  • 期限を守れる人

書類の収集・管理・提出を行う労務では、期限内に正確に手続きを行わなければなりません。

給与計算や労働保険・社会保障保険などの手続きは、会社と従業員の金銭管理に関わることなので、正確性が求められます。

万が一不正やミスがあれば、会社へのクレームに繋がり、訴訟になることもあります。

また、労務担当者には、法律や税金に関する専門的なスキルが必要であり、労働基準法、派遣法などの改定に敏感になって学習できる人が望ましいでしょう。

労務の業務

勤怠管理

勤怠とは、出勤や退勤・休暇などの従業員の出勤状況のことです。

勤怠管理では、以下のものを把握することが求められます。

  • 出退勤時間
  • 時間外労働時間
  • 休憩時間
  • 出欠勤日数
  • 遅刻・早退
  • 休日出勤回数
  • 有休休暇取得状況

これらの勤怠情報が就労規則に準じていることを確認することで、適正な人事評価・賃金の支払い、過剰労働の早期発見や防止を行うことができ、正しい会社経営に繋がります。

給与計算・手続き

労働の対価である賃金を計算・手続きを行うのも労務の仕事の1つです。給与計算においては、以下の項目について法律・就業規則に基づいて計算を行います。

  • 基本給
  • 諸手当
  • 基準外手当
  • 法定控除
  • その他控除

基本給は職位・等級・評価・成果などによって毎月変動する上、手当や控除額は一人一人異なるので複雑な仕事です。

会社と従業員の金銭に関わり、国に納める税金等についても責任を負うため、正確な給与計算や法律に関する正しい知識が必要です。

近年では、給与計算を自動化するシステムを利用する場合や社会保険労務士や代行サービス会社に外注することもあります。

これらの場合は、個人情報の漏洩リスクがあるため、情報管理体制を整える必要があります。

保険手続き

従業員は、以下のような社会保険・労働保険に加入する必要があります。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 労災保険
  • 雇用保険

これらの保険手続きには、対象となる従業員の必要な書類を年金事務所やハローワークなどに提出しなければなりません。

万が一提出が遅れると、追加で書類を提出する必要がある場合や、保険料が減額される場合などがあるので注意が必要です。

保険手続き業務には、主に以下の二種類があります。

従業員の申請書が必要な手続き過去の給与データに
基づき手続きするもの
資格取得・喪失

住所・氏名変更

保険証の再発行

保険料の免除申請

給付金申請

など
年度更新

算定基礎届

月額変更届

賞与支払い届

など

従業員の申請が必要な手続きは、従業員が申請を忘れたり後回しにしたりすることで、申請が遅れることがよくあります。

申請書式を整備することはもちろん、申請が必要であることを知らせ、定期的に確認を行う必要があります。

また、給与データに基いて行う手続きは、保険料の支払い額を確定するために必要です。

申請が遅れると追加で徴収されることがあるので、担当者がいつ・どの手続きを行うのか年次スケジュールを把握し、抜け・漏れなく手続きを行わなければなりません。

入退社手続き

入社・退社する際にはそれぞれ必要な手続きがあります。期限内に年金事務所やハローワークに提出しなければいけないものもあります。

入社時・退社時ともにトラブルなく、必要書類を用意し、きちんと管理することが重要です。

入社時・退社時に必要な手続きには、主に以下のようなものがあります。

入社時退社時
雇用・労働契約手続き雇用・労働契約解除手続き
社員名簿の作成社員名簿の変更
雇用保険・社会保険の加入手続き雇用保険・社会保険の資格喪失手続き
住民税に関する手続き住民税に関する手続き
その他必要書類の収集・提出その他必要書類の収集・提出

労務トラブル対応

働きやすい職場環境を作ることも労務の仕事の目的なので、残業代未払い問題や社内の人間関係によるトラブルなどの対応も行います。

具体的にどのようなトラブルに対応するのかというと、以下のようなものがあります。

  • 労働時間や休暇に関するトラブル
  • 待遇に関するトラブル
  • 労働災害・労災保険に関する相談
  • 過労・メンタルヘルスに関する相談
  • パワハラ
  • セクハラ

労務担当が従業員の悩み相談にのり、働き方や人間関係による離職を防ぎます。

就業規則作成

従業員数が10人以上いる会社では、就業規則を作成し、行政官庁に届け出ること、見やすい場所に掲示または備え付けること、書面を交付することが労働基準法で義務付けられています。

労務では、従業員が働くうえで必要となる就業規則の作成、管理をおこないます。

規則は法律の定めに従い、労働時間・給料・休暇・退職時の扱いなどについて規則を作ります。

就業規則に記載することが労働基準法で義務付けられているものには以下のようなものがあります。

必ず記載しなければならないもの

  • 始業・終業時刻・休憩時間
  • 休日・休暇について
  • 賃金の決定方法・計算方法
  • 支払いの方法・賃金の締切日・支払日
  • 昇給について
  • 退職。解雇・定年の事由・手続き

これらの絶対記載事項以外にも、企業独自の労働時間・賃金・退職に関するルールを記載します。

福利厚生業務

法定外福利は従業員とその家族の生活や健康を向上させ、労働生産性をあげる目的があり、従業員のモチベーションを高めることにも繋がります。

具体的に言うと福利厚生制度には以下のようなものがあります。

継続率98%、毎日使える食事補助の福利厚生【チケットレストラン】

福利厚生制度
医療関連・医療施設利用
・予防接種、健康診断費補助
・フィットネスクラブ・ジム費用の補助
・医薬品購入費用の補助
住宅関連・住宅補助
・持ち家補助
・社宅・独身寮
ライフサポート関連・育児、介護手当
・食事補助
・交通費補助
・学習、資格取得手当
休暇関連・有給休暇
・出産・育児休暇
・介護休暇
・生理休暇
職場環境関連・在宅ワーク・テレワーク
・短時間勤務
慶弔関連・結婚祝い金
・出産祝い金
・傷病見舞金
・弔意金
・誕生日お祝い
体育・文化・レクリエーション関連・部活動
・忘年会費・新年会費
・社員旅行
・施設利用

労務では、これらの福利厚生の申請や変更などの業務を行います。

【決定版20撰】社員の誕生日プレゼントに何あげる?総まとめ!【福利厚生】

安全衛生管理

労働基準法で会社が従業員の安全衛生管理を行うことは義務付けられています。

安全管理:危険な労働災害などから労働者の身を守るための管理

衛生管理:有害物質や騒音など人体に悪影響を及ぼすものから労働者を守り、健康を保護するための管理

労務担当部署が社員の心と身体の健康にも配慮し、労災を防ぐ責任を負います。

労働者の安全衛生管理を怠り労働災害が発生した場合、労働安全衛生法違反による懲役・罰金、業務上過失致死傷罪による懲役・禁錮・罰金などの刑事上の重い罪に問われる危険性があります。

事業規模や業種によっては「安全委員会」「衛生委員会」「産業医」などを設置して労働災害の防止策などを調査する委員会を設置しなければなりません。

安全衛生管理の業務には、具体的には以下のようなものがあります。

  • 安全衛生教育や研修の機会を与えること
  • 健康診断の結果の記録・通知・医師の意見聴取
  • 所轄の労働基準監督署長への報告
  • ストレスチェック
  • 従業員の相談

合同労組への対応

合同労組(ユニオン)とは、労働組合がない中小企業の労働者や企業別労働組合に加入できない非正規雇用者などが合同して結成した労働組合です。

労働組合の団結権・団体交渉権・団体行動権は法律で認められています。

正当な理由なしに交渉を断ることは、不当労働行為となり、賞罰されます。

会社と合同労組(ユニオン)が誠実に交渉を行うために以下のような対応が必要です。

  • 事実関係・証拠書類の整理
  • 合同組合の情報収集
  • 団体交渉への出席

助成金の手続き

助成金とは、厚生労働省が管轄を行っている「返済不要の企業への支援金」のことです。

雇用保険量の一部が財源となっているため、返済不要で自由に使うことができ、要件を満たせば受給することが可能です。

助成金を受給するためには、正しく労務管理を行うことが必要です。

申請書類や添付書類の用意など、煩雑な手続きを必要とするため、手続き業務を行わない企業や社会保険労務士に任せる企業もあります。

まとめ

労務業務について理解できましたか?

目立たない裏方の労務業務ですが、会社を正しく経営し、従業員が気持ちよく働くためにとても重要な仕事を行います。

これを機に、企業の労務のあり方について検討してみてください。