給与計算の仕方はどうするの?事前にやっておくべきこと・注意すべきポイントは?

給与計算とは、従業員の毎月の給料を計算する作業ですが、基本給、手当、保険料・税金など、足し引きする項目があって意外と複雑です。

給与計算は、従業員への労働の対価の支払いだけでなく、税金や保険料の支払いに関わるので注意が必要です。

税金や法律などが関わる複雑な給与計算に関して

「給与計算をするには何からすればいいか分からない」

「給与計算する場合にどんなところに注意すべきか分からない」

といった悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?

今回は、給与計算の方法、給与計算のために必要な事前準備と気をつけるポイントについてご紹介します。

給与計算の方法

給与は、以下のように計算します。

給与の計算方法

給与=支給額 – 控除額

給与として支給するもの、控除するものには、以下のようなものがあります。

[支給するもの]
  • 基本給
  • 役職手当・通勤手当・時間外労働手当などの手当
[控除するもの]
  • 社会保険料
  • 雇用保険料
  • 所得税
  • 住民税

支給額から控除した金額を税務署や年金事務所などに納めます。

給与計算をするには以下の方法があります。

  • 労務担当者が計算する
  • 給与計算ソフトを利用する
  • 社労士・顧問税理士に代行してもらう

労務担当者が計算する場合

給与計算の大まかな手順は以下のようになります。

  1. 勤務時間の集計
  2. 時間外手当の計算
  3. 各種手当の計算
  4. 総支給額の計算-
  5. 住民税の計算
  6. 社会保険料の計算
  7. 源泉所得税の計算
  8. その他控除の計算
  9. 控除額の計算
メリット

  • 従業員数が少ない場合は、コストが低い
  • 情報漏洩などのリスクが低い
デメリット
  • 計算ミスが発生しやすい
  • 専門知識を持った社員を採用・育成する必要がある
  • 法制度・税制の改正時の対応が必要
  • 従業員数が多い会社の場合、業務負荷が大きく、人件費もかかる

給与計算ソフトを利用する場合

給与計算ソフトを利用すると、人材管理データや勤怠管理データから基本給・残業代・手当・社会保険料・税金などの計算を自動で行ってくれるだけでなく、給与明細や年末調整や年次手続に必要な書類を自動で作成してくれます。

メリット
  • 計算業務を自動化できる
  • 計算ミスが少ない
  • 給与明細を自動で発行できる
  • 年度更新・算定基礎などの年次手続きに必要な書類も作成してくれる
  • 年末調整も効率化できる
  • 最新の法制度・税制に自動で対応できる
デメリット
  • 合わないシステムを導入するとコストパフォーマンスが悪い
  • 一度導入すると変更しづらい

社労士・顧問税理士に代行してもらう場合

労働社会保険、労務の専門知識を持った社労士、税金に関する専門知識を持った税理士に給与計算を代行してもらうことが可能です。

タイトル
  • 正確に計算ができる
  • 専門知識を持った社員を採用・育成する必要がない
  • 従業員数が多い企業の場合、コストを削減することができる
  • 最新の法制度・税制に自動で対応できる
  • 年度更新・算定基礎などの年次手続きに必要な書類も代行してもらえる
デメリット
  • 就業規則に変更を加えると追加費用が発生する可能性がある
  • 従業員数によってはコストがかかる可能性がある

給与計算の事前準備

給与計算には、以下のような事前準備が必要です。

  • 締め日と支給日を決める
  • 基本給と諸手当の決定
  • 遅刻・早退時の控除の決定
  • 就業規則・給与規定の作成
  • 従業員情報の収集・変更
  • 勤怠管理

締め日と支給日を決める

まず、一回の支払いでいつからいつまでの給与を支払うかの基準となる締め日と給与を支払う日である支給日を決めなければなりません。

給与は、「賃金支払い五原則(国内の通貨によって、直接的な形式で、賃金を全額労働者へ 、毎月1回以上の頻度で、明確な期日を設定して)」に基づいて一回以上、決まった日に支払う必要があります。

[締め日、支払日の例]

  • 月末締め、翌月25日払い
  • 月末締め、翌月15日払い
  • 月末締め、翌月10日払い
  • 15日締め、当月25日払い
  • 15日締め、当月月末払い
  • 25日締め、翌月10日払い

など

一番多いのは、「月末締め、翌月25日払い」で、1日〜末日の一ヶ月分の給料を毎月25日に支払うのが一般的です。

締め日が土日祝の場合は、その前営業日か後営業日に支払います。

POINT

締め日は、取引先からの仕入れや入金のタイミングから都合のいい日を設定することができます。

支払日は、給与計算にかかる時間や銀行振り込みの手続きにかかる時間を考慮すると、締め日から5日以上開けて支給日を設定するのが無難です。

給与の計算方法が異なるため、「25日が正社員で、15日がアルバイトの給料日」など分けて給料計算している企業もあります。

その際は、きちんと就業規則や雇用契約に明記し、説明することで誤解を防ぐといいでしょう。

基本給と諸手当の決定

基本給とは、等級制度評価制度などと紐づけた基準に応じて支給する、ベースとなる給与のことです。諸手当とは、通勤手当や役職手当、時間外労働手当などの該当者に支給する給与のことです。

基本給には、種類があり、勤続給や成果給、職務給など、何を基準に給与額を決定するかによって異なります。

給与計算する上で、どの給与制度を導入するか決定しなければなりません。

また、諸手当には、どのような社員にどれぐらいの手当を支給するかのルールである「支給要件」と「支給水準」を設定する必要があります。

しろくま先生

基本給について更に詳しく知りたい方は下記の記事を読んでみてください!

欠勤控除の決定

会社は、ノーワークノーペイの原則により、従業員が働かなかった時間に賃金を払う必要はありません

ノーワークノーペイの原則とは、労働者(従業員)が欠勤や遅刻で仕事をしなかった日や時間分の賃金を支払う義務は会社に発生しないという原則です。

なので、一般的には就業規則や労働契約に基づいて欠勤や遅刻・早退した時間分の賃金を控除します。

欠勤控除の計算方法には、以下のようなものがあります。

  • 欠勤控除(1日)=固定給÷所定労働日数
  • 欠勤控除(1時間)=固定給÷所定労働日数÷1日の所定労働時間

所定労働日数は、1年間の平均値(20日など)で計算するのが一般的です。

遅刻・早退時の控除の決定

企業が設定した始業時刻に遅れて出勤する「遅刻」をした場合、終業時刻より早く帰宅する「早退」をした場合の対応を決める必要があります。

基本的には、労働基準法で定められた「ノーワークノーペイ」の原則に基づいて、働かなかった時間の給与は支払う義務がありません。

遅刻・早退した場合は、給与から「1時間当たりの給与×遅刻・早退した時間」を控除するのが一般的です。

就業規則・給与規定の作成

締め日・支払日や給与の決定方法、残業代に関するルールなどは、就業規則で明記しなければなりません。

特に以下の項目が給与計算に関わります。

  • 給与の決定方法
  • 締め日、支払日
  • 昇給に関する情報
  • 労働時間
  • 遅刻・早退・欠勤時の給与
  • 残業代について
  • 諸手当の条件・支給額

従業員情報の収集・変更

給与計算には、以下のような従業員の情報が必要であり、情報の追加・変更を行う必要があります。

  • 勤続年数
  • 職種
  • 役職
  • 家族
  • 勤務地

など

基本給を決定するために必要な職種や役職などの情報、家族手当、通勤手当、住宅手当などの手当を支給するために必要な情報を管理します。

勤怠管理

勤怠管理とは、従業員の勤務時間を管理することです。

給与計算には、勤務時間を管理し、残業時間や休日労働時間、遅刻・早退・欠勤した日などを把握する必要があります。

勤怠管理業務をより効率的に行うために勤怠管理システムを利用する企業も多くあります。

給与計算で注意すべきポイント

会社から従業員に支払うお金、税金などの公的機関へ支払うお金を扱う給与計算では、以下のような注意すべきポイントがあります。

  • 勤怠管理
  • 情報管理
  • 税金管理

勤怠管理

勤怠管理では、従業員の勤務時間を記録しますが、打刻漏れや記録に漏れがあった場合は、基本給の支給額や残業代などに影響します。

また、割増賃金となる深夜労働時間や残業代が発生する時間を正しく把握することが重要です。

情報管理

給与を計算する際には、従業員とその扶養家族個人情報を扱います。これらの情報は、適正な管理を行い、社内外ともに情報漏えいを防止しなければなりません。

情報漏えいをした場合、個人情報保護法違反として刑事罰を受けることになったり、従業員からの訴訟を受けるリスクが発生します。

税金管理

給与計算の際に税金の計算や支給額からの控除を行うので、税額を正しく計算し、支払わなければなりません。

計算ミスや漏れがあった場合は、追徴課税、重加算税、刑事罰を受けるリスクがあります。

まとめ

給与計算の仕方、給与計算のために事前に行っておくべき準備、注意すべきポイントについて理解できましたか?

給与計算は、給与の支払日や基本給、手当の基準、遅刻・早退時の控除など、様々な給与に関する規則を決めた上で就業規則や給与規定に記載しなければなりません。

また、残業時間や遅刻・早退した時間などを把握するために勤務時間を管理したり、通勤手当や住宅手当、家族手当などの手当の支給額を決定するために従業員の個人情報を管理する必要があります。

これらの給与計算の手順には、会社から従業員への労働の対価である賃金、公的機関に支払う税金や保険料に関わり、トラブルがあった場合は訴訟や賞罰に繋がるリスクがあるので、正確に行うことが重要です。

業務負担の軽減や法令遵守のために給与計算ソフトを利用したり、社労士や顧問税理士に給与計算を代行してもらうことも検討してみてください。

給与計算の仕方はどうするの?事前にやっておくべきこと・注意すべきポイントは?