組織とは?代表的な5つの形態を徹底解説!

自分の会社がどのような組織構造なのか、なぜその構造なのか考えたことがありますか?

企業はミッション(企業理念)の達成のために集団でそれぞれ役割を果たすことで機能します。組織構造は意思決定の早さや人材育成などに影響し、経営環境や規模やフェーズ、事業戦略に合わせて柔軟に変化させます。トヨタやパナソニック、資生堂などの歴史の深い大手企業も規模や事業展開、時代の変化などに合わせて組織構造の改革を行ってきました。

この記事では、組織形態の種類とメリット・デメリット・企業の事例をご紹介します。

機能別組織(職能別組織)とは

機能別組織

機能別組織とは、「企画部」「販売部」「生産部」「研究開発部」「経理」「人事」というように同じ機能を担当するスタッフが集まった部門で形成される組織形態です。

人体の心臓・肝臓・腎臓のようにそれぞれが特定の働きを行っており、組織全体で会社の運営や製品やサービスの提供を行っています。なので、製品やサービス・事業の数が少ない小規模な企業に向いています。

機能別組織のメリット・デメリット

メリット
  • 機能や業務内容の重複がなく、効率がいい
  • 業務を集中させることで規模の経済が働く
  • 知識やノウハウが蓄積され、専門性を高めやすい
  • 経営層に権限が集まるため命令を一元化できる

機能別組織では、同じ業務を行うスタッフが1つの部署に集結するため、各担当者が持つ知識やスキル・設備が共有されるため、機能や業務内容の重複がなく、経営資源を効率よく活用することができます。例えば生産部門では、同じ生産設備・開発スタッフを共有することができるため、業務や設備の重複がなく経営上の効率がよくなります。また、部署内で企画・販売・開発などのノウハウが蓄積・伝達されやすいため、プロフェッショナル人材を育成することができます

さらに、経営の中枢部が一部に集中しているため、トップによる統制がとりやすいというメリットがある反面規模が大きくなると迅速な対応ができなくなるというデメリットもあります。全職域・全部署を横断するマネージャー職を設けることでその解決を図ることができます。

デメリット
  • 規模が大きくなると迅速な対応ができなくなる
  • 個々の製品・市場への適応がしにくい
  • 経営人材が育ちにくい
  • 責任の所在が不透明

機能別組織では、部門ごとの意思疎通があまり頻繁に行われないカルチャーの場合、時代やニーズの変化などの情報が伝達されないというデメリットがあります。例えばマーケティング部や営業部でお客様のニーズや意見を開発部で反映することができないといった部門横断的な対応や組織内の情報共有に支障が起きてしまいます。

また、それぞれの部署で専門性の高いプロフェッショナル人材が育成される反面、広い視野で会社の状況を把握する経営視点をもった人材が育ちにくいといったデメリットもあります。

事業部制組織とは

事業部制組織

事業部制組織とは、「製品」「地域」「顧客」などで分けた複数の事業部の中に「営業」「企画」「開発」の部署を設けて事業部内である程度の経営ができるようになった組織形態です。事業部長に権限が委譲されているため、意思決定の早さなどのメリットがあります。

事業別組織には、主に「製品別事業部制組織」「地域別事業部制組織」「顧客別事業部制組織」があります。

製品別事業部組織

製品別事業部制組織

製品ごとに事業部が分けられ、その製品を担当する「営業」「企画」「開発」の担当が揃っており、より製品の知識・技術に詳しい人材を集約することができ、時代に合わせて柔軟に製品の改善を行ったり製品に問題が起きたときに迅速に対応することができます。

製品別事業部制は、製品の種類が多い企業に取り入れられることが多く、製品別の事業部とコーポレート、人事の事業部を設ける場合がほとんどです。

地域別事業部組織

地域別事業部組織

地方・地域を軸にした事業を行っている企業では、地域別に事業部を設けています。東北事業部、海外事業部、アジア事業部などが例としてあります。

地域別の事業部にすることで地域に特化した情報を集めたり地域ごとの状況に合わせた迅速な対応をすることができます。

顧客別事業部組織

顧客別事業部組織

顧客層や特定のクライアントを軸に事業を行っている企業では、顧客・顧客層別に事業部を設けています。法人事業部や個人事業部などがあり、他業界のクライアントを持つコンサル企業などでは金融事業部、公共事業部など顧客の業界別に事業分けをしている場合もあります。

顧客層別の事業部にすることで顧客のニーズをすばやく反映したりノウハウや技術を事業部内で共有することができます。

事業部制組織のメリット・デメリット

メリット
  • 意思決定・緊急時の対応がスムーズに行える
  • 企業経営者の育成がしやすい
  • 予算や経営戦略が立てやすい
  • 課題や責任の所在がわかりやすい

事業部制組織では、事業部に権限が付与されているので意思決定や緊急時の対応に本社や経営層の決定を待つことなくスムーズに行うことができます。また、責任と権限を持ったポストが増えることによってマネジメントスキル・経営スキルをもった次世代リーダーの育成が進むというメリットがあります。

製品別、地域別、顧客層別に事業部が別れていると部署ごとの売上、前年比が明確になり、需要の変化や経営課題を可視化しやすくなります。それによって事業の成長を分析しやすくなり予算配分や経営戦略を策定する際に役立ちます

デメリット
  • 事業部間の機能が重複するので効率が悪い
  • 予算をめぐる事業部同士の摩擦が起こりやすい
  • 事業部を跨いだアイデアの創出・連携がしにくい

事業部制組織では、それぞれの事業部に機能が集約されているため、人員や設備や業務が重複し、経営資源を効率よく活用することができません。

また、各事業部ではそれぞれのKPIや業務達成度が評価や予算配分がされるため、事業同士の摩擦が生まれたり事業部での交流機会の減少から事業部を跨いだアイデアの創出や連携が取りにくいといったデメリットがあります。結果的に全社的な協力体制を取ることができなくなるので事業を跨いだ社内交流の機会を設けることが重要となります。

マトリクス組織とは

マトリクス組織

マトリクス組織は、機能別組織と事業部制組織の中間的な組織形態です。部門×事業部といった構造になっており、機能別組織の「営業部門」「生産部門」「開発部門」「人事部門」「経理部門」といった部門と地域、製品、顧客層ごとに区切られた事業部を組み合わせています。

たとえばA製品の営業を担当する人は、A製品事業部と営業部門に所属することになります。A製品事業部長と営業部長がいるように複数の上司を持ちます。

マトリクス組織には、「ウィーク型」、「ストロング型」、「バランス型」があり、それぞれプロジェクトマネージャーの配置の仕方が異なります。

ウィーク型

ウィーク型のマトリクス組織では、プロジェクトマネージャーを設けないので責任者がいないフラットな組織になります。

スタッフはそれぞれ自由に行動できるため、柔軟かつ迅速な対応が可能になる一方、メンバーの行動を把握しにくい、作業を効率よく進めることができないといったデメリットもあります。

ストロング型

ストロング型のマトリクス組織では、プロジェクトマネージャー専門の部門に所属するプロジェクトマネージャーを各チームに設置します。

このプロジェクトマネージャーは、通常業務は行わずマネジメントを専門的に行い、事業部長・部門長よりも強い権限と責任をもつため指示系統が明確になり、メンバーは業務に集中することができます。しかし、その反面プロジェクトマネージャーが現場の状況を素早く把握してスピーディーに対応することができないというデメリットもあります。

マネージメント専門の部署を設けることによって、マネジメントに特化した人材育成が進みますが、人員に余裕がある企業でないと実現が困難になるでしょう。

バランス型

バランス型のマトリクス組織では、プロジェクトチームの中からプロジェクトマネージャーを選びます。このプロジェクトマネージャーは通常業務を行うため、素早く状況を把握して調整できる一方業務負荷がかかってしまいます。

また、プロジェクトマネージャー以外にも事業部長・部門長が存在するため、指示に一貫性がなく混乱や対立を招くこともあります。

マトリクス組織のメリット・デメリット

メリット
  • 機能や業務内容の重複がなく、効率がいい
  • 知識やノウハウが蓄積され、専門性を高めやすい
  • アイデアの創出や連携がとりやすい
  • 意思決定や緊急時の対応をスムーズに行える
  • 企業経営者の育成がしやすい
  • 課題や責任の所在がわかりやすい
  • 予算や経営戦略が立てやすい

マトリクス組織では、事業ごとに「企画」「営業」「開発」の機能を設ける必要がないため、業務の重複がなく効率的で、部門・事業部それぞれに知識やノウハウが共有され、専門性を高めやすい、全社的な連携が取りやすいといったメリットがあります。

また、チーム単位で動くので、意思決定や緊急時の対応をスムーズに行える上に責任と裁量を持ったポジションが生まれ、経営人材の育成が進みやすくなります。

さらにチーム単位の業績を評価することができるので、課題や責任の所在がわかりやすく、予算や経営戦略が立てやすいのも特徴的です。

デメリット
  • 複数の指示への混乱や対立が起きる可能性がある
  • 人材管理・評価が難しい[

一方、マトリクス組織では、複数の上司が存在することから指示への混乱や対立が起きたり、組織形態が複雑であることから人材管理や評価が難しいといったデメリットもあります。

カンパニー制組織とは

カンパニー制組織

カンパニー制組織は、事業部制組織よりも独立性を高めた組織形態になり、各事業部を独立した会社とします。事業部制組織とは異なり、人事権・投資への決裁権も付与されるのでさらに意思決定や緊急時の対応をスムーズに行うことができます。

カンパニー制では、事業部制とは違い、損益計算書(P/L)だけでなくと貸借対照表(B/S)、加えてキャッシュフローの責任も負います。予算の配分もカンパニー独自で決定することができるので柔軟な対応ができます。

また、カンパニー制は持株会社とは異なり、法的に同一法人としてみなされ、会計も一つの企業として対応します。

カンパニー制のメリット・デメリット

メリット
  • 意思決定や緊急時の対応をスムーズに行える
  • 予算や経営戦略が立てやすい
  • 課題や責任の所在がわかりやすい
  • 責任の所在が明確になりやすい
  • 企業経営者の育成がしやすい

カンパニー制では、組織単位が小さく、大きな権限をもっているため意思決定や緊急時の対応の早さが特徴的です。

また、カンパニーの独立性が高いため、カンパニー間での競争関係が生まれ、組織全体を活性化することができたり、次世代リーダーに経営の経験を積ませることで育成面でも大きな成長が期待できます。

デメリット
  • カンパニー間のシナジーやイノベーションが起きにくい
  • 重複部門・重複業務が生じ、ランニングコストがかかる

一方、カンパニーの独立性が高いためカンパニー間での交流が希薄し、カンパニー間のシナジーやイノベーションが起きにくいといったデメリットもあります。

また、カンパニーごとに企画、営業、開発、人事、経理の機能を設けることによって人材や設備、業務が重複し、ランニングコストがかさんでしまいます。

プロジェクト組織とは

プロジェクト組織

プロジェクト組織とは、プロジェクトごとに営業・コンサルタント・エンジニアなど各部門からメンバーを集めてチームが編成され、プロジェクトが終わると解散しそれぞれ各部門に戻ったり別のプロジェクトに参画します。各プロジェクトごとにプロジェクトマネージャーが設置され、その指示や意思決定に従ってプロジェクトが遂行されます。

プロジェクト組織は、他業界のクライアントを持ちプロジェクト単位で業務が行われるシステム開発やコンサルティングを行う企業に多く取り入れられています。

プロジェクト組織のメリット・デメリット

メリット
  • 環境や状況の変化に柔軟・迅速に対応できる
  • チームで同じ目的をもち、モチベーションが高まりやすい
  • プロジェクトマネージャーが責任を負うため責任の所在が明確

プロジェクトでは、クライアントの要望や情況の変化に合わせて調整が必要になります。プロジェクト組織では、少人数なため情報共有や意思決定が迅速に行われるのでプロジェクトに適した組織形態だといえます。また、メンバーが同じ目的をもつためモチベーションが高く高いパフォーマンスが期待できます。

また、少数チームをでプロジェクトマネージャーが権限と責任を持つため、指示が明確で責任の所在も明確になるといったメリットがあります。

デメリット
  • 知識が蓄積されにくい
  • 評価や待遇が複雑になる
  • 部下を育成する文化ができにくい

プロジェクト制組織では、プロジェクトが終了すると解散してしまうことからそのプロジェクトで培われた知識が蓄積されにくいといったデメリットがあります。

また、プロジェクトごとにマネージャーが変わるので、人事評価に差が出やすく社員からの不満が出てしまうことがあります。さらに、プロジェクトマネージャーが変わるので誰が育成したのか不透明で、部下を育成しても評価に繋がらず人材育成が進まないといったデメリットもあります。

まとめ

組織には「機能別組織」「事業部別組織」「マトリクス組織」「カンパニー制組織」「プロジェクト組織」などがあります。しかし、実際には各企業の事業展開や規模やフェーズに合わせて数種類の組織形態を組み合わせた組織形態をもっている企業があります。

これらの組織形態を参考に自社の組織編成、組織改革の際の参考にしてみてください。