株式会社GACCIが、2023年4月に建設業の見積業務を効率化するSaaS「GACCI」の提供を開始し、シードラウンドで1億円の資金調達を実施しました。10社への導入テストでは、「導入前と比較し見積作業の効率化が50%以上図れた」と10社全てが効果を実感しています。
今回は株式会社GACCIの代表取締役である若本憲治さんにGACCIを活用してどのように見積業務を効率化できるのか、GACCIを活用するメリットについてインタビューさせていただきました。
若本憲治
株式会社GACCI 代表取締役CEO
鳥取県出身。鳥取を中心に、起業、M&A、新規創業等を通じ、複数の企業経営経験を持つ。建設業界の「プレコンストラクション」領域の、見積積算業務をデジタルの力で効率化させることを目指し、株式会社GACCI(本社:東京・鳥取)を立ち上げる。2023年4月にサービス開始し、シードラウンドでの資金調達を実施する。
GACCIとは
サービス概要 | 建設業の見積業務を効率化するSaaS |
運営会社 | 株式会社GACCI |
設立 | 2021年2月2日 |
公式HPはこちら!
GACCIはどんなサービスですか?
GACCIは建設業の煩雑な見積業務をSaaSで効率化、最適化するプロダクトです。
元請け会社と協力会社がクラウド上で同じプラットフォームを活用し見積のやりとりを行うため、コミュニケーションコストや作業時間の削減ができ効率化を図ることが可能となります。
その結果、設計や施工といった建設業本来のクリエイティブな部分に時間を費やしていただけるようになります。
GACCIを導入している企業の事例では、どれぐらいの業務を効率化できているのでしょうか。
実際に導入いただいた企業様からは、導入前と比較し見積作業の効率化が50%以上図れたと実感を持っていただいています。
特に内訳書の転記作業、メールやFAX送信作業、電話・メール頻度の削減が大きく効率化に寄与しています。
また、社内でもGACCIの活用の幅は広く、過去データ検索や部署間の情報共有も容易となり、データの統一化、整理、さらなる活用を考えていきたいとのご意見をいただいています。
GACCIが効率化する業務と活用のメリット
GACCIを利用している企業では、見積業務のどのような点に課題感を持って利用し、GACCIを活用することでどのように効率化できているのでしょうか。
ご利用いただいている元請け会社は、 数十社に及ぶ協力会社への見積依頼作業、さらに各社から集まった見積をもとにした積算作成業務に関して課題感を持たれておりました。
建設業界の見積業務は非常に複雑で、提出形式やフォーマットも企業ごとに異なります。そのため、元請け会社は協力会社から提出されたデータの収集や整理をすることに膨大な時間と労力を費やしており、非常に煩雑なものとなっていました。
GACCIは、元請け会社と協力会社がクラウド上の同じプラットフォームを活用することで粒度の定まらなかった形式を統一化し、タイムリーなやりとりを可能にします。
導入後は、形式の統一化ができたことで、見積作成作業への負担軽減となり、積算業務の効率化に繋がっていることを実感いただいています。
また、協力会社の皆様の受け入れもスムーズで、思っていたより使い方が簡単だった等ポジティブな反応が得られています。さらに、社内の反応も良好で、部署を超えた社内の連携や過去データの活用にも一役買っています。
元請会社・協力会社の双方が使いやすいプラットフォームになっているとのことですが、どのようなプラットフォームで協力会社とやり取りを行うのでしょうか。
具体的には、GACCIは高精度なOCR機能を備えており、建設図面や見積書を読み込み、見積に必要な項目を自動的に抽出、リスト化します。抽出されたリストをもとに、元請け会社は見積依頼を出したい部分と該当する協力会社を選択することで、一斉に現場全体の見積依頼をかけることができます。
※OCR機能とは、画像内の文字列を読み取り、テキストデータに変換する機能のこと。
依頼を受けた協力会社はメールに通知されているURLからログインすると元請け会社から依頼された見積内容を即時に確認でき、見積単価の入力から提出まで一連の作業が同じプラットフォームで完了します。
そのため、元請け企業は転記作業の時間や見積依頼を受け取るまでに掛かっていた時間のロスを大幅に削減でき、作業効率の加速に繋がります。
OCR機能を活用することで見積依頼にかかる作業を効率化し、さらに協力会社がクラウド上ですぐに依頼内容を確認して見積書を送れるようになるため、見積依頼から見積回収までの時間もお大幅に削減することができるのですね。
ここまで「協力会社への見積依頼・やりとり」における業務効率化について詳しくお伺いしましたが、「見積・情報管理」の場面ではGACCIを利用することでどのように業務を効率化できるようになりますか。
見積の段階では、見積状況をリアルタイムで確認できるため、確認作業の手間を省くことができます。
以前は、元請け会社側は依頼時や進捗状況の確認をメールや電話で連絡を取り合ったり、提出方法も協力会社が直接元請け会社に持参するところもありました。
GACCIは見積依頼をかけると、依頼先の協力会社にメールが自動配信され、元請け会社側も依頼の進捗状況をクラウドでいつでも確認できるため、今まで行っていたメールや電話での確認作業が不要となります。
情報管理の視点では、紙媒体で見積書を管理している会社がほとんどで、見積・積算の精度向上のために過去データを見直すだけでも時間や労力を費やしていました。
GACCIは過去に入力されたデータはクラウドにすべて保管されるため、パソコンさえあれば場所や時間を問わずいつでもデータの確認が可能で、効率化だけでなく見積精度の向上にも役立つと考えています。
「プレコンストラクション」の場面ではGACCIを利用することでどのように業務を効率化できるようになりますか。
プレコンストラクションの段階では設計や仕様が確定していないため、見積もりを行う上で不確実性が高く、プロジェクトに関する情報収集、関連する経験や専門知識が必要とされます。
加えて、資材の市場価格の変動や人件費の問題も大きく影響するため、正確な現状把握と将来を見据えた価格設定を考慮に入れる必要があります。そのため、安全かつ効率的なプロジェクトの遂行には慎重に見積・積算を行う必要があります。
しかし、実行予算・見積書の作成自体に膨大な時間がかかってしまうことが要因となり、特定の経験者へ業務負担が集中してしまうことや、公共工事の入札にあたり、本来最も重要な、工事の分析や経営判断を通じた見積精査が難しいという業界課題がありました。
これらの課題に対して、GACCIはクラウド上でフォーマットの統一や見積状況のリアルタイムな共有、データ管理を可能にし、今まで事務作業に費やしていた時間や労力を大幅に削減することで、効率化を加速させます。
その結果、本来の見積・積算の精度の向上に時間を費やすことができ、建設業界において最も重要と言える経営判断や高利益体質への変革を後押しができると考えています。
見積業務を効率化することで、元請会社の社員の業務負担を軽減するメリットがあるだけでなく、利益管理や経営判断をする時間が確保できるようになることで経営にとってもメリットがあるのですね。
GACCIはこんな企業におすすめ
最後に、GACCIをどんな企業に利用してもらいたいですか。
まずは、中小の元請け会社やゼネコンにご活用いただきたいと考えています。中小企業は「2024年問題」を目前に控え、建設DXを進めたいと考えていても、自社開発を進めるための人員や時間、費用の捻出が困難な企業が多いと感じています。
GACCIを導入していただくことで、業務の効率化を図り、本来の建設業のクリエイティブな部分にリソースを費やしていただけるようにサポートしたいと考えております。
DXを推進することで、労働環境の改善や経営資源の最適化を図りたいと考えている企業に向けたサービスなのですね。
GACCIについて理解が深まりました。ありがとうございました。
公式HPはこちら!