転職業界20年のプロ、オブリージュ代表の大川章さんに、はじめて転職する人に向けて「転職活動のやり方」を解説していただくコラム。第9回は「転職軸の考え方」についてです。これからの時代を生き抜くために必要な”ブレない転職軸”の考え方についてお話しいただきました。
大川章 オブリージュ株式会社/代表取締役 ベンチャー企業、外資系企業を中心としたサーチエージェントであるオブリージュ株式会社の代表。テクノブレーン株式会社、ジェイエイシージャパン(現ジェイエイシーリクルートメント)、オムロン系の人材会社等を経て現職。 千葉県在住。(オブリージュ株式会社HP: http://www.oblige-jpn.com/ )
(※本インタビューはZoomで実施し、写真撮影時のみマスクを外しています)
これからの時代を生き抜くためには?
ー今日は、プレない転職軸の考え方についてお話をきければと思います。
プレない転職軸ですね、わかりました。
まず、前提として、キャリアとか転職とか多くの人が気になってきている背景としては、日本の雇用のあり方が変わってきているというのがあると思うんですけど。
一番わかりやすいのは、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に変化してきていることです。
今まで大手企業がやってきたのはメンバーシップ型、いわゆる終身雇用でした。
新卒で入社して、配属が変わったり転勤して一番適したところで落ち着くっていうのが今までの流れだったんですけど、
ジョブ型雇用では、営業だったら営業になる、法務だったら法務になるとか、法務の人を採用するとか、スペシャリストに近い採用の仕方がこれからの流れになってきているんです。
1つの企業でずっと働くっていうのが通用しなくなってきているから、転職でキャリアアップしていこうっていう流れになってきているんですよね。
ただ注意して欲しいのは、世の中そういう流れだよって言っているのは、転職を勧めた方が企業は儲かるからポジショントークな部分もあるので、
それも頭の片隅には入れつつ、周りに流されずに自分のライフキャリアとジョブキャリアを考えながらより良い人生を作っていって欲しいっていうのを一番伝えたいですね。
ージョブ型雇用になったことで、よりキャリア軸を作ることが重要になってきているんですね。
ジョブ型雇用になるってことで、どういうキャリア軸で転職するかっていう企業選びも重要になってきている部分もありますし、
まだメンバーシップ型雇用で採用している会社さんもあって、それはそれでメリットもあるし否定はしないですけど、
そうなると何でもできるけど専門性はないってなってしまうので、どういう職種でキャリアを積みたいかっていうキャリア軸をしっかり考えておいた方がいいと思います。
そうしないと、もしかすると40代・50代になったときにその会社で働くのも厳しく、これといった強みがないので転職も難しくなるという状況に陥る可能性もあります。
今、50代のリストラとかが増えてきていますけど、40代からリストラをやっている会社もありますから、なるべく若いうちに自分がどういうキャリアを歩んでいきたいかを考えておいた方がいいですね。
ー転職したいかどうかに関係なく、キャリア軸とかは考えておく方がいいですよね。
自分がどんな仕事をやっていきたいかは、学生の頃から考えておいた方がいいですね。
学生の頃からインターンに参加して適性を見極めておいて、入社してからいくつか職種を経験して、この職種を軸にキャリアを積んでいきたいなっていうのが決まってきて、ジョブ型雇用で転職していくっていうパターンがスタンダードになってる感じはしますけどね。
若いうちにキャリアチェンジすることは大事なので、「こういう仕事がやりたいな」とか「今の会社は違うな」ってことだったら、20代は失敗をすることも経験を積むという意味では大切だからキャリアチェンジも臆せずやっておいた方がいいかもしれないですね。
ローテーション型だと好きな仕事に出会えるっていうのもあるからメリットもあると思うんですけど、ある程度若いうちから自分の好きな仕事とか適性を見つけておいた方がいいですね。
結局それが自分の武器にもなってきますからね。
これからの時代を生き抜くためには 若いうちにやりたい仕事・適職を見つけ、キャリア軸を持つことが重要
ブレない転職軸の考え方と転職活動のやり方
ー転職の軸ってどうやったら明確になりますか?
例えば、僕が人材の方と初めてお話しするときは、その方がどうやって今に至るか、今後どうしていきたいかっていうのを聞いていくんですけど、そこに転職の目的が見えてきたりするんですよね。
部活・受験・学生時代・就活・現職の話を聞いていくと、「この人はこういう方向性で入社まで至ったんだな」とか、「今こういうことがやりたいけど今の会社ではできない、だから転職したい」っていう転職の目的が見えてきます。
ー過去に遡って話をするのは、原体験から転職の軸が見つかるからですか?
そうなんです。
どういう価値観があるのかとか、どんな仕事が向いていることとかも見えてきます。
例えば、1人でやる仕事が得意とか、人と関わる仕事が好きとかが例としてあります。
転職の軸の考え方のポイント 過去から現在までの自分を分析し、価値観や強みを明確にする
ー今まで変わらず自分の中にある軸を探していけば良いんですね。
はい。
そして、今後やりたいことについて話していって、そのキャリアを目指すにはどうすればいいか。
例えば、もっと規模が大きい仕事ができる会社とか、裁量権が大きい会社とかそうやって目的を決めていきます。
そして、目的が決まったらそこはブラさないで軸として持って、そこから外れるところだったら受けないのが原則です。
求人選び、企業選びに迷ったらまた転職の目的に戻って考えるとブレなくなってくると思います。
ー目的から逆算して企業選びをしていくといいんですね。
そうですね。その次に戦略を立てていく。つまり、目的を達成するための会社選びをします。
そして、その会社に受かるためには面接でどういうスタンスでいくか、どういうことをアピールするかっていう戦術を考えていきますね。
ー転職軸は、職種が軸となることが多いですか?
多いですね。
この会社のこの部門の職種を受けてみようかってなります。
すぐに応募しなくてもこういうスペックが必要だから、それに近い経験ができるようにこれから頑張ってみようかって話をして機が熟したころに受けるって場合もあります。
ー転職の軸はいくつぐらいあればいいですか?
さっき言ったような職種の軸が一つと、もう一個あるとしたら、ライフキャリアですかね。
例えば、地方活性化がしたい、地元に貢献したいとか。
転職の軸には将来成し遂げたいこととか想いもあっていいと思うんですよ。
そこからキャリアを考えて、それを実現するために必要な経験ができる会社はどこか、という目線で選ぶっていうのでもいいと思います。
ー社風とかの軸はどうですか?
社風とか働く環境の軸も大事ですね。
個人の仕事が好きな人がチームワーク重視の仕事をしなければいけない会社に入ったらきついですよね。
自分が働きやすい環境の条件を明確にして選ぶのも、自分に合った会社を選ぶために重要だと思います。
ー年収とかワークライフバランスの取りやすさとかの条件面はあんまり軸にしないほうがいいですか?
20代はあんまり条件面は考えなくてもいいかもしれないな。
もちろん、自分なりにキャリアを積んで自信ができたときは年収も軸になるし、家庭環境が変わったらワークライフバランスを考えて福利厚生も軸にするべきだと思いますけど、
20代はむしろ経験値が上がるところを選んでおいた方がいいと思います。
それに、タイミングによって条件面の軸は変わってくるかもしれないですよね。
ーたしかに、結婚などによってライフスタイルが変わってきて、ワークライフバランスを重視したいと思うようになった場合でも、職種の軸はブレないですよね。
そうなんです。
だから僕は職種の軸を主軸にした方がいいと思うんですよね。
ワークライフバランスを重視した転職だと、企業はあまり良い印象を持たないってところもあります。
むしろ専門性を高めて、いつでも復職できる状態にしておいたり、短時間でも成果を出せる、いないと困るような状態にしておくと、結果としてワークライフバランスを取りやすくなります。
企業が求めるスキルや経験が少ないと、ワークライフバランスを取りたいと言っても難しいという場合はあるからね。
ブレない3つの転職軸 ①職種の軸 ②ライフキャリアの軸 ③社風・働き方の軸
これからの時代を生き抜くにはキャリア軸が重要
ーまとめると、自分が専門性を高めていきたい職種を中心とした転職の軸を考えると良いんですね。
はい、これから自分がどんな仕事をしたいか、どんなところを強めていきたいか考えてみてください。
そして、その目的から企業選びをしていくと後悔しない転職ができると思います。
ーキャリアの考え方、転職軸の考え方が分かった気がします。ありがとうございました。
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