VC業界の転職支援歴20年のプロに聞く!面接でありがちな失敗例|タイグロンパートナーズ株式会社

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投資銀行やPEファンドなど金融業界の転職支援に強みを持つタイグロンパートナーズ。VC業界の転職支援歴約20年の信藤様に、VC業界に転職しやすい人、面接でありがちな失敗例について伺いました。

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信藤 啓吾
タイグロンパートナーズ株式会社 シニアコンサルタント

タイグロンパートナーズの前身となるアカマイフィナンシャルマーケッツジャパンの日本支社へ入社前は、約5年間にわたり、ロバート・ウォルターズにて金融マーケット(投資銀行、不動産、PEファンド)を専門としたリクルーティングに従事。タイグロンパートナーズでは投資銀行、不動産ファンド、PE/VCファンドの3つを主な専門領域とし、これらの3つから派生した、一般事業会社のM&A担当部門や戦略企画、ファンド投資先企業のCFOポジションへの転職もサポート。

VC業界の知見とコネクションの強み

ー信藤様は、タイグロンパートナーズの前身となる会社からいらっしゃるとのことですが、その当時ってVC業界の転職はどんな感じでしたか?VC業界に強い転職エージェントとかあったのでしょうか。

この業界は今年で21年目になります。

20年前はVC業界に特化したエージェントっていうのは、ほとんど聞いたことがなく、ぽつりぽつりとVC業界の支援をやっている会社があるぐらいの感じでしたが、ちょうどタイグロンパートナーズに入ったあたりはベンチャーキャピタルの数も増えていて、支援先としては外資系、もしくは外資と一緒にやっているようなVCをカバーし始めたのが始まりでした。

ーもともとそんな日本にはVC自体少なかったけれど、日本の方でもちょっと盛り上がってきたみたいな感じだったのですね。

そもそも、日本には世界規模で注目されるベンチャー企業が少なく、時価総額の面でも欧米のそれと比較すると規模は相当小さいです。投資を行うVC側の人材も、ベンチャー企業の将来性を見抜く力が必要ですし、一緒に会社を成長させる能力、ノウハウが必要です。元来、起業を目指す人が少ない土壌ですが、過去10年を見ると、独立する人の数は相当増え、またベンチャー企業に転職して成功したのを見て、自分も成功したいっていう人は増えたし、それに比例しVCに行く金融の人も増えていったのです。

私は主に投資銀行とその周辺の方たちの転職支援しており、紹介する転職先には、PEファンドやそのファンドの投資先もありますが、ベンチャーキャピタルもその選択肢の中に入ることは増えてきました。

ーVC業界での転職支援歴が長いことによってコネクションも強いのですか?

各ファンドによりますが、私の知っている方が在籍していれば自ずとコネクションは強いです。

私が支援した人が在籍して3年、5年ぐらい経っていれば、中がどうなっているかも詳しく教えていただけます。今こういう人が欲しいという募集を出しているけれど、実際欲しい人材の種類、対象は限定されているなどという情報も頂けます。

求人票はネットに載っていますが、どういう目線でクライアントが求人募集をかけているのか、年間10名、20名と大量採用しようとしているのか、本当の投資のプロを採用しようとしているのか?この辺りの情報をつかんでないと、エージェントはただ単に求人票を紹介するだけで終わってしまうと思います。

ー求人の募集背景やどういう人材を求めているかを企業から直接聞けるというのは、VC業界で長く支援しているタイグロンパートナーズならではの強みなのですね。

VC業界に転職しやすい人

ー過去の転職支援経験から、こういう方はVCに転職しやすい、こういう方は厳しいとか、VC業界の採用傾向みたいなものはありますか。

どういう方を求めているかっていうのは会社によって異なります。

例えば、大手の銀行や商社で、グループ会社にベンチャーキャピタルを持っているようなところでは、どちらかというと超専門家よりは営業力の強い人が求められる傾向があります。

そのようなVCでは、親会社が色々なスタートアップ企業にお金を貸したりしていて、且つ銀行ネットワークを多く持っているので、その流れでベンチャーキャピタルを作っているわけです。

そして、上場したら、グループ会社の証券会社で資金調達、M&Aのサービスを継続的に提供できますし、長く付き合いをするという流れでやっているから、分析力というよりは、営業力が求められます。

一方、独立系のVCや外資のVCでは、採用のハードルが高くなってきます。実際にエクセルのモデリング能力がどれくらいあるかが見られたりします。

まだ若手で経験値が少ない状態で、ベンチャーキャピタルに行きたいという人は、営業力が求められるVCでしたら受かる可能性はあるけれど、独立系のVCとか外資のVCに応募すると高い確率で通過しないと思います。

ーなるほど。あなたのキャリアだったらこういうところは行けるけど、ちょっとこういうところは難しいとか、そういうアドバイスもできるのですね。

ーVCに転職する方ってどんなキャリアの方が多いでしょうか。

多くの場合、銀行証券の若手。商社の若手、そしてコンサルティング会社出身者ですね。他には一般事業会社で企画、財務、投資業務に関わったことがある方たちです。

事業会社でも投資しているチームもありますし、スタートアップ企業を買って成長させています。いわゆるコーポレートベンチャーキャピタルをやっている会社もあるので、そこからの転職者もおります。

付け加えると、いわゆる商売のセンスのある人も欲しいので、例えば学生時代にちょっと簡単なビジネスをやっていましたとか、起業していましたっていう人もいいと思います。

売り上げが小さくても、自分で損益を全部見ていたっていう経験があったり、実家が商売をやっていたりして、経営の経験があるという方も面接ウケはよいと思います。

あとは特定の研究分野に詳しい方も採用の対象になる場合があります。VCの世界で言うとシードから投資をするファンドです。大学の研究室で開発段階にある時から目をつけて投資を行うファンドでは、研究内容は将来社会的に意義があるか、伸びるか、他のビジネスを融合させると更に売り上げが伸びるかどうかを見定めるのには、特定分野の研究経験が必要なこともあります。

そのため、医学部や薬学部を出た方や生命工学を専攻しているような方を求めるベンチャーキャピタルもあります。

ー金融業界の方だけでなく、理系の大学院を出た方や研究職の方もVC業界に転職できる可能性があるのですね。

信藤さんが話している様子を写した写真

VC業界の面接でありがちな失敗例

ーVC業界で転職を希望する方に、面談時に普段からアドバイスしていることってありますか?

よく候補者にお伝えしていることとしては、選考を受ける企業についてしっかり調べていくということです。

会社概要はホームページ見れば分かりますし、発表している投資案件とか見れば、どういう会社に投資しているのか分かるので、そこは確実に調べていくことですね。

面談時に「うちがどういうファンドかをご存知ですか」「じゃあ、うちの投資先であなたが面白いなって思った案件はどれですか?」って聞かれて「全然見ていませんでした」って言うと、そこで選考に落ちることは確実になります。

私も資料を渡して何か興味がある案件があったら、深掘りして見ておいて、そこから話を展開できるようにしてくださいというのですが、調べてこない方は意外といるのですよ。

ーエージェントに頼るだけでなく、自分でも資料を読んだりしてしっかり調べておくことが重要なのですね。

あと、複雑な話にはなりますが、ベンチャーキャピタルは投資家からお金をもらって活動をしているので、リターンを出さなければいけないということも理解しておかないといけません。

例えば、ある会社に投資して3年間のうちに上場を目指すとすると、その時間枠でなんとか売上を上げようとするわけです。

しかし、世界経済が動いたり、何らかの事情が発生して、売上が予測より低くなることもあります。

そうするとファンド側は、1号ファンドはやめて2号ファンドの方で上場しませんか?と投資家に提案するのですが、投資家が今の状態でエグジットしてくださいと言えば、ベンチャー企業はあと一年あれば回復できるのに、ファンド側の都合で上場させられたり、もしくは売却させられたりっていうのがあります。

そのようなファンド側の事情まで理解せず、理想だけ描いていると転職はうまくいかないと思います。

ー必ずしもうまくいく訳ではなく、現実も理解しておかないといけないのですね。

ー最後にVC業界で転職を考えている方にメッセージをお願いします。

まず先ほども申し上げた通り、漠然と活動すると、おそらく絶対受からないとは言えませんけど、受かる確率は減ってしまうので、しっかりと企業研究をしていくこと。

あと、適性もありますが、やはりリターンを出すために投資をしたからといって、全部成功しているわけではなく、実際は投資で失敗しているケースもたくさんありますので、そういう事例をなるべく多く知っておくこと。

それからキャピタリストとして求められるものを、面接に行く前にしっかりと把握する。

面倒でも普段から、仮に自分がキャピタリストになった場合、どの業界に投資したいのか、どの業界が伸びそうなのか、どの特定の会社に投資したいのかっていうのを考えていないと、いざ面接で聞かれて答えられないと思いますので。

この辺は私たちもお手伝いさせていただきますが、ご自身でも考えていただくことが重要だと思います。

VC業界のコネクションや支援経験から、色々とアドバイスできることもありますので、ぜひご相談いただければと思います。

―VC業界のコネクションの強さや転職について知見が豊富であることが伝わりました。ありがとうございました。

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