理学療法士として働いている方に向けて、
・理学療法士の給料を上げることはできるのか
・理学療法士が昇給する方法
これらについて理学療法士の筆者がデータや経験を元に解説していきます。
山口 祐弥
2014年理学療法士資格取得。理学療法士として働き始めて9年目。2014年より地方の総合病院にて勤務開始。2019年には、理学療法士の学会にて奨励賞授与。2021年に大学院を卒業し保健学修士取得。臨床業務と研究活動を実施。2022年に都内の自費リハビリを提供する会社へ転職。勤務の傍ら、Webライター専門としても活動を開始し、理学療法士の経験を生かした医療・健康分野や趣味のアウトドアについての情報を発信している。 保有資格:修士号(保健学)、認定理学療法士
河野裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアを行う。その後、理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。【保有資格】理学療法士、修士号(スポーツ科学)
理学療法士の年収水準
年収平均は各地域ごとで若干の違いはありますが、正社員で平均360万円前後で、初任給は平均22万円前後で(出典:求人ボックス 理学療法士の年収)、求人の数も少なくはありません。
現代の日本では少子高齢化社会といわれていますが、理学療法の主な対象となる高齢者が増えているために仕事の需要もあります。例えば、医療介護従事経験者が運営する求人サイト『ジョブメドレー』では、全国で約8000件(2022年6月30日時点)近くの求人数があります。
年収は職場ごとでも違いがあり、介護施設は医療施設よりも年収が低い傾向があります。
しかし、2025年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者世代となります。
そのため、介護分野での理学療法士へのニーズは、ここ数年で高まることが予想されています。例として、訪問リハビリテーションの事業所では理学療法士が好待遇で迎えられているケースもあります。
医療施設では公立病院か民間病院かによって、年収が変わります。
一般的に公立病院は民間病院と比べて初任給が少し低い傾向です。
しかし、給与の昇給率は公立病院の方が高いことが多いです。
公立病院では公務員として働く必要があり、副業は原則禁止です。収入面では、副業も念頭に入れて理学療法士の仕事をするほうが有利だと思います。ですので、私のおすすめは金銭面のことを考えると民間病院での勤務です。
理学療法士 河野裕也さんのコメント
全年代の年収推移をみると平均年収は減少傾向であることがわかります。年代別では30代後半以降の年収が減少傾向であり、これが平均年収を減少させている1つの要因であると考えられます。基本的に給与が年齢とともに減額することはないため、30代後半以降の昇給額の減少が関係していると考えられます。30代後半になると役職を担う年代でもあり、役職になると年収は比較的上がる傾向にあるため、キャリアプランをしっかり考える必要があると思います。
理学療法士の給料アップ4つの方法
理学療法士として年収を上げるためには、以下のような方法が考えられます。
理学療法士の給料アップの方法1:職場での評価を高めて、昇進する
人事考課制度を用いている職場では、業務などの成果が昇給に反映されます。
また、職場内で一般社員から役職者へ昇進すると昇給につながります。
理学療法士の給料アップの方法2:資格の取得やスキルアップする
職場によっては、特定の資格を持つことで昇給につながることがあります。
例えば、日本理学療法士協会が認定する「認定理学療法士」を取得することが挙げられます。
また、大学院を卒業して学位を取得することも昇給につながることがあります。
職場を選ぶ際には、このような資格や経験が優遇される職場かを確認することも大事です。
資格・スキルを正当に評価してくれる職場でないと年収が上がらないこともあります…。
理学療法士 河野裕也さんのコメント
特定の資格を持つことで昇給につながる職場はかなり限定的ですので、現職の制度で昇給につながるのかはしっかりと確認しておきましょう。
理学療法士の給料アップの方法3:理学療法士の教員になる
教員になることで年収が上がるケースが多いです。
興味のある方は挑戦してみてもいいかもしれませんね!
でも基本的には、教員の席が空かないと求人募集はありません。
常に求人情報をチェックして、募集があればすぐに応募するなど、積極的な姿勢が大事になります。
同業種間でのつながりからチャンスが転がってくることもあるので、人脈作りが上手な人は採用に結びつきやすいでしょう。
理学療法士の給料アップの方法4:転職する
年収をあげるためには一番手っ取り早い方法かもしれません!
転職サイトや知り合いの紹介の中から福利厚生、給料面で好条件の場所へ転職することはおすすめです。
理学療法士はスキルを高めても、診療報酬の関係で1人の対象者からいただくお金に変わりはありません。
ですので、「スキルアップ=昇給」とつながりにくいのも現状です。
スキルを正当に評価してくれる職場を見つけることが大切です。
まずはこの中から自分に合ったサイトで無料相談してみましょう!
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あわせて読む:理学療法士(PT)に強い転職サイトおすすめ7選
まずは今の職場で成果を出すことで、年収を上げることについて更に細かく説明していきます。
職場で評価されて昇給するための3つのポイント
ポイント1:その組織のビジョン、目的を常に意識する
ポイント2:上司の望むことを考えて、行動する
ポイント3:マネジメント能力を養い、リーダーとして組織をまとめる
理学療法士として臨床スキルを高め、資格をとったとしても、そのことに重きを置かない職場であれば、さほど年収へ影響を与えることはできません。
ですので、上記3つのポイントをおさえてみましょう。
それぞれの内容について解説していきます。
理学療法士が昇給するためのポイント1:その組織のビジョン、目的を常に意識する
「自分の属する組織にどれだけ貢献できるか」ということが大事になります。
そのためにも、組織のビジョン・目標は何なのか、確認してみましょう。
そして、自分の役割を把握して行動に移していきましょう。
理学療法士が昇給するためのポイント2:上司の望むことを考えて、行動する
「人事評価をする人」の心の内を考えます。
その人の評価を高めるためには、どのようにしていけばいいかを考える必要があります。
理学療法士が昇給するためのポイント3:マネジメント能力を養い、リーダーとして組織をまとめる
リーダーとして周りを引っ張っていく役割を担うことができると、組織の中での評価も高まり、希少価値が生まれます。そうすれば、年収も高まりやすいでしょう。
次は、理学療法士が取得することでスキルアップに役立つ資格を紹介していきます。
理学療法士が取得することでスキルアップに役立つ3つの資格
1:修士、博士
修士、博士号を取得する過程の経験から、研究ができるようになります。
理学療法士は全員が研究をするわけではありません。
ですから、研究ができる人は希少価値が高くなります。
修士、博士号を取得するには大学院に通い、学校の定める審査に合格する必要があります。
一般的な流れは、研究を行ってその成果を発表し、学術雑誌に論文として投稿、採択されることで学位が授与されることが多いです。
2:ケアマネージャー
ケアマネージャーの仕事は、介護を必要とする方が介護保険サービスを受けることができるように、ケアプランの作成やサービス事業所との調整をすることです。
理学療法士もこの資格を取得することで、介護保険サービスについて詳しくなります。
対象者が介護保険を利用する場合に、幅広い視野でサポートができるようになるでしょう。
3:福祉住環境コーディネーター
対象者が在宅復帰をするときには、自宅の様子を確認して生活環境のアドバイスをします。
その際に必要な福祉用具についての知識が身につき、適切なサポートをすることができます。
リハビリテーションを行う上でも、対象者を幅広い視野で支援できるようになります。
ですので、貴重な人材として重宝されるでしょう。
転職をして理学療法士が年収アップを目指すなら
理学療法士の求人が多い転職サイトを活用することで、年収アップを目指すことも可能です。
自分のスキルや経験を評価してくれる職場を見つけられるように複数の転職サイトに登録することもオススメです。
また、転職時に年収アップをするかどうかはもちろん重要ですが、転職した後に昇給がどのように行われるのかも重要です。
入職後にどのように昇給していくかは、長期的な視点で自身の年収に関わります。
そして、昇給額はどのように設定されるかという点も大事です。
「人事考課で評価されて昇給する」
「年齢が大きく考慮される」
など、職場ごとで昇給の仕方には違いがあります。
自分が頑張った成果が昇給に反映されやすいのかも病院見学の時に確認しましょう。
理学療法士の年収水準のトレンド
2020年時点から過去15年間の平均年収のデータを見ると、減少傾向です。
こちらの記事では、職種別民間給与実態調査の15年分のデータをまとめてくれています!
ここでのポイントは、年代別で年収の推移に違いがあることです。
30代後半の年代は年収が減少傾向ですが、それより前の年代では過去15年間で大きな変化はありません。
これは昇給の減額が関係しているものと推測されます。
最近では少子高齢化が影響し、国の社会保障費が増えていることから診療報酬は減算されやすい傾向があります。
診療報酬は保険内領域で働く理学療法士の収入の元ですので、普通に働いていては大きな昇給は望めない可能性があります。
今後も昇給をしていくためには、これまでに述べたような工夫をしていく必要があります!
理学療法士の仕事の将来性
こちらの内閣府の令和2年版高齢社会白書のデータにあるように、日本は少子高齢化により高齢者数が今後も増加していくことが推測されています。
リハビリテーションの主な対象は高齢者ですから、今後も理学療法士の必要性は高まっていくことでしょう。
しかし、一方で理学療法士養成校の増加で理学療法士の人数が増えてきています。2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍になることが予想されています。
そうすると、今後は理学療法士自体の希少価値が下がっていくことは避けられません。
執筆者の私も理学療法士として働いていますが、理学療法士の仕事自体は社会的にとても重要で、楽しい職業だと感じています。ですので、やりがいの面でいうとすごくお勧めしたい仕事です。
しかし収入の面でいうと普通に働くだけで勝手に年収が上がっていくような状況はあまり期待できないかもしれません。
ですから、理学療法士として働くのであれば、本記事でご紹介したように自分の希少価値をどのように上げていくか、常に考えながら行動することで市場価値を高めていきましょう。
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