「リファラル採用ってどんな採用方法?」
「リファラル採用を取り入れるにはどうすればいい?」
「どんな制度を作れば成功する?」
このような疑問にお答えして、外資系企業の人事や大手人材会社での勤務経験がある筆者が、リファラル採用の具体的な導入手順、推進するための制度、注意点、メリット・デメリット、かかるコスト等について解説します!
上川秋葉
佐賀県出身。高校卒業後、ニューヨーク州立大学へ留学。会計学を専攻し大手監査法人(ニューヨーク支店)へ就職。キャリア変更し、東京で外資系企業の人事を経験し、大手人材会社へと転職。現在は、ニューヨークで、2児の子育てしながらフリーランサーとして活動中。趣味はランニング、登山。富士山3回登頂。2022年にフィラデルフィアで初マラソンへ挑戦予定。資格:英検1級、TOEIC 910点、グローバルキャリアカウンセラー
リファラル採用とは
リファラル採用とは、自社の社員の紹介によって採用を行う方法です。
メルカリやビズリーチ、サイバーエージェントなどリファラル採用を積極的に行っていて採用に成功している企業もたくさんあります。
そんなリファラル採用について詳しく解説していきます。
リファラル採用の導入手順
リファラル採用の導入手順1:制度の検討
リファラル採用が自社にとって費用対効果があるかどうかを十分に考慮し、実施の検討をしましょう。
中途半端に導入してしまうと採用計画が狂ってしまったり、制度が浸透せずに形骸化してしまったりすることがあります。
また、紹介した社員への報酬や活動費などのコストが発生するため、他の採用手法によるコストなどと調整する必要があります。
リファラル採用の導入手順2:ルールの策定
- 採用活動の方法
- 制度を浸透させるための施策
- 活動費の支給条件
- 紹介報酬の支給条件
- 問い合わせ方法・報告方法
- 選考フロー
リファラル制度を確立するには、採用ルールの策定が必要になります。自社の規約に基づき、リファラル制度を適用する場合に考えられる、採用方法の手順や報酬条件などのルールを決めましょう。
採用活動を「社員と候補者の会食で行うのか」、「会社としてカジュアルなイベントを開くのか」、「勤務時間内に行うのか」「勤務時間外だと残業代を支給するのか」「オフィスで行うのか、レストランで行うのか」といった方法や、
そういった活動のための「食事代や交通費などの費用をどういった条件で支給するのか」を明確にしなければなりません。
また、リファラル採用の活動をする際はどの社員に報告すればいいのか、どういうフローで選考が行われるのかきちんと決めておきましょう。
ここで決めたルールは会社としての正式決定・決裁をとっておきましょう。
制度を作るだけでなく、浸透させることが重要なので、浸透させるためのインセンティブや表彰制度などの施策も検討してみましょう。こちらは後ほど詳しく解説します。
リファラル採用の導入手順3:募集ポジションの整理
既存の募集ポジションを整理して、どのポジションであればリファラル制度に適しているかを考慮しましょう。契約社員や正社員、パート、役員など、それぞれの役職や職種に応じて、リファラル制度の可否を検討します。
リファラル採用には内定から実際の就業開始までに時間がかかる可能性があるので、できるだけ余裕を持った採用目標を立てるといいでしょう。
リファラル採用の導入手順4:社員への告知
リファラル制度の周知徹底はトップダウンで行い、社内サイトで募集項目や選考プロセスを明記することで認知を高め、同時に紹介者の負担も軽減することができます。
就業規則や雇用契約書に記載し、社内ミーティングや面談の際にも告知を行いましょう!
リファラル採用の導入手順5:制度浸透へのアプローチ
制度を浸透させるために、社内報での告知やインセンティブ、表彰などの施策を実施します。
制度がうまく浸透しない場合はアンケートをとるなどの対応をして改善策を検討してみましょう。
社員が知人、友人に紹介したくなるようなオフィス環境を整え、社内のだれに問い合わせをすればいいかを明確にすることでよりスムーズなコミュニケーションが可能になります。
リファラル採用を推進するための3つの施策
リファラル採用推進施策1 :社内でのリファラル採用制度の認知拡大
リファラル採用は社員に主体的に動いてもらうことで始まります。まずは、社内報や社内サイトで、求人情報の発信や、選考プロセスを明確にし、いつでも社員が採用情報へアクセスできる環境を作りましょう。また、会社説明をしやすいように、会社説明資料を公開することも効果的です。社員の負担にならないような仕組みづくりも同時に必要になります。
リファラル採用推進施策2:カジュアルなオフィス訪問や会食制度導入
会社の雰囲気や商品を知ってもらうために、候補者をオフィスに招待して、職場見学や勉強会を実施するなど、気軽に接点を持つことができる機会が求められています。カジュアルな面談や会食の機会を作り、社員が紹介しやすい環境を提供することはリファラル採用を推進するためには必要です。
リファラル採用推進施策3:表彰制度や人事評価
リファラル採用に対しての報酬の明確化や、紹介後の成功体験を社内で共有することで社員全体のモチベーションを維持します。また、リファラル採用への貢献度を、人事評価への反映もできるように指標を作っておくと、社員の満足度も高くなるでしょう。
その他リファラル採用推進施策
リファラル採用を推進させるための施策には、以下のようなものがあります。
- 気軽にオフィスへ招くことができる制度
- 社員の紹介で誰でも参加できるイベントの開催
- リクルートチーム
リファラル採用を浸透させるためには、インセンティブだけでなく、申請や報告作業がシンプルで気軽に取り組みやすい仕組みづくりが必要です。また、1on1やミーティングなどで定期的に告知を行ってみるのもいいでしょう。
また、会社の雰囲気を知ってもらうため社員の紹介でオフィスに招くことができる会食制度や勉強会・セミナーなども効果的です。
数名で構成されたリクルートチームを作り、目標や採用状況や募集職種などの共有を行う企業もあります。多職種の人で構成させると交流の場にもなり、より企業や業務への理解が深まります。
社員が知り合いに会社説明をしやすいように採用ピッチ資料を公開することも効果的です。社員全員が同じ資料を用いて会社を紹介してもらえるので誤解を防ぐメリットがあります。
リファラル採用の注意点
リファラル採用を行う際は、以下の点に注意しましょう。
- リファラル採用に関する制度は就業規則や雇用契約に明記しておきましょう。
- 報酬額があまり高すぎると本業が疎かになる可能性があるので注意しましょう。
リファラル採用のメリット
- 理想の人材とマッチング
- 入社後の定着率のアップ
- 候補者の人柄が分かる
- 潜在的な転職希望者の採用
- 社員のモチベーションが上がる
- 採用コストの削減
リファラル採用では、紹介者が社風や仕事内容などをしっかりと候補者に伝えることで、人材のミスマッチを防ぐことができます。また、候補者と企業の相互理解が高いため、入社後の定着率アップにもつながります。
リファラル採用が成功すると、紹介者の社員の会社への満足度も高くなることが期待できます。
また、リファラル採用のコストは求人媒体や、人材紹介などにかかるコストの半分以下で、自社の採用力を強化することは、企業にとって大きな利点です。
リファラル採用のデメリット
- 人間関係に配慮が必要
- 社員が会社の求める人物像を理解していないとミスマッチが起きる
- 大量に採用することができない
社員紹介による採用は、人間関係に細やかな配慮が必要です。
不採用になった場合、紹介した社員と気まずくなったり、紹介した社員の退職とともに会社を辞めてしまったりと、様々な弊害があります。リファラル採用を進める際は、紹介者と候補者の関係性に配慮しながら、採用後に適切な人員配置を行う必要があります。
リファラル採用は社員の紹介活動を主体としているで、大量の採用を期待すると、社員に通常業務以外の過度の負担がかかってしまうので現実的ではありません。
候補者が現職で活躍している人材であれば、内定となっても採用までの時間を要することがあるので、大量採用には不向きです。
リファラル採用のメリット・デメリットをもっと詳しく知りたいという方は下記の記事も読んでみてください!
リファラル採用にかかるコスト
- 紹介者への報酬
- 採用活動費(会食代・交通費など)
- 採用ツールなどの費用
リファラル採用では、求人サイトへの掲載費が必要なく、社員の交友関係から応募者を獲得することができます。
社員をリファラル採用に積極的に取り組ませるために紹介報酬制度を設ける企業も多いですが、成果報酬型の求人広告や人材紹介会社の手数料よりも安く抑えることができます。
また、活動のための会食代や交通費、勤務時間外で活動する際の残業代の支給などについては特に法律はないので、自社で決めることができます。
求人サイトを利用した場合は約20万円〜
人材紹介会社を利用した場合は採用者の年収×30%〜35%
がかかります。
リファラル採用の導入手順・流れまとめ
リファラル採用は費用対効果が高く、企業と社員の双方にとって大きなメリットがあります。労働人口が減少する中、自社採用の強化は企業経営の視点からも重要になります。
リファラル採用制度を浸透させるには、採用プロセスの情報を可視化して、社員の紹介活動がスムーズに行えるように仕組みづくりを整えましょう。
リファラル採用制度は大量採用には不向きなため、ダイレクトリクルーティングなど他の採用手法と併用して行うことをお勧めします。
ダイレクトリクルーティング、ソーシャルリクルーティングなどの他の中途採用の手法について知りたい方は以下の記事も読んでみてください