転職業界20年のプロ、オブリージュ代表の大川章さんに、はじめて転職する人に向けて「転職活動のやり方」を解説していただくコラム。第7回は「面接対策」についてです。面接で必ず聞かれる6つの質問項目への答え方のポイントを教えていただきました。
大川章 オブリージュ株式会社/代表取締役 ベンチャー企業、外資系企業を中心としたサーチエージェントであるオブリージュ株式会社の代表。テクノブレーン株式会社、ジェイエイシージャパン(現ジェイエイシーリクルートメント)、オムロン系の人材会社等を経て現職。 千葉県在住。(オブリージュ株式会社HP: http://www.oblige-jpn.com/ )
(※本インタビューはZoomで実施し、写真撮影時のみマスクを外しています)
転職面接でよくある6つの質問への答え方
ー今回は、転職面接でよくある質問ごとの答え方のポイントについて聞いていければと思います。
よろしくお願いします。
1.自己紹介・自己PR
ーまず、自己紹介・自己PRを最初に聞かれると思うんですけど、どんなことに注意すればいいですか?
まず、自己紹介では、2〜3分ぐらいで簡潔に話すことに注意して欲しいですね。
自己紹介してくださいって言われて5分とか話してしまう人とか、話をまとめられないって思われてしまうので、たとえ話すのが上手かったとしても簡潔に話せないと減点される可能性はありますよね。
一方で、自己PRの方は熱意を持って話したり、具体的なエピソードを盛り込んで話してみるといいと思います。
職務経歴書に書いてあるから、人事の方は文面上ではわかっていると思うんですよね。
でも、人事の方は、言葉の重みとして本当に嘘をついていないか、直接聞いて確認したいと思っているから、あえてもう一回聞くんですよね。
関連するプロダクトでの経験とか、実際にサービスを使ってみて感じたこととか、
エピソードを加えるとより良い印象を持ってもらえると思います。
2.転職理由・志望動機
ー転職理由・志望動機ではどんなポイントがありますか?
この会社を辞めた理由はなんですか?って転職理由を聞いた上で、志望動機が聞かれると思うんですけど、
「今後はこういうことをしていきたいけど、今の会社だと実現できないから、御社だったらこういう理由で自分のやりたい仕事ができると思い、応募しました」
というように、ストーリーを意識して話すことが重要ですね。
注意して欲しいのが、ネガティブな転職理由はここで最初に話さないこと。
以前もお話ししましたが、上司と合わない、残業が多いとか、給与が低いっていう転職理由を最初に答えてしまうと、印象は良くないですね。
それだったらうちの会社じゃなくてもいいってなるので、こういう仕事がしたいっていう前向きな転職理由・志望理由を伝えるべきだと思います。
もちろん、本音はいい環境で働きたいっていうのはみんな同じだと思うんですけど、あくまでのサブ的な理由で、これを第一の動機にしないほうがいいです。
ー家庭の事情で残業が少ない会社で働きたいっていうのが転職理由の場合はどうですか?
納得できる理由だし、そこが合わないと転職できないわけだから、譲れない条件である場合は正直に言ってしまってもいいと思います。
履歴書の本人希望欄には書いておいて、そういう働き方が可能な会社に応募するっていうのが前提ですけど。
「こういった事情があって、こういう働き方になりますが、それでもこういう仕事をしたい」って話すといいと思います。
ーどんな転職理由であっても「こういうことをしたい!」っていう仕事への熱意を伝えることが重要なんですね。
そうですね。
3.活かせる経験・実績・スキル
ー活かせる経験・実績・スキルを答える時に意識すべきポイントはありますか?
受けるポジションによっても違ってくるかもしれないですけど、求人票をしっかり見て、企業が求めている経験やスキルをアピールしていくっていうのが大事なんじゃないかって思いますね。
例えば、営業とかだったらその会社がどういう営業スタイルをやっていて、どういう経験の人を求めているかを調べて、実績とか経験をアピールしたり、
未経験から経理職のポジションで受けるのだったら、それに近い経験をアピールするという感じです。
ー事務職や接客業など、数値で表せる実績がないときはどうアピールするのがいいですか?
これは、事例を言ったらいいと思うんですけど。
「こういう経験があって傾聴スキルがあります」とか、「こういう資料を作って喜ばれた経験があります」とか、学生時代のアルバイトでも何でも良いですけど、その職種に近い経験をアピールすることが重要だと思います。
ー30代以降の転職だと、20代とは少し違うポイントがあると思うんですけど、どういうことをアピールすれば良いですか?
30代、40代だとまたこれは違ってきて、僕の場合だったら、仮説を立てて面接に臨むようにってアドバイスしていますね。
技術的な課題とか、その事業部で抱えている課題が何かって自分なりに調べて、「僕だったらこういうことができます」っていうのを考えておくと良いと思います。
これを経験・スキルを聞かれた時だったり、逆質問の時に話すと印象が上がりますね。
そうすると、面接官の方は、「うちの会社のことよく調べてくれてるんだね」とか「課題解決まで考えてくれているんだね」ってなるし、「うちの会社でこういうことを解決してくれるんだ」って採用するメリットも伝えられると思います。
ー課題解決能力もアピールできますよね。
そうなんですよ。
ちゃんと仮説を立てて、筋道を立てて考えられる人なんだなって伝わるので、評価してもらえると思います。
4.キャリアビジョン
ー面接でキャリアビジョンを聞かれることもあると思うんですけど、どういう意図があるんですか?
今後どういう仕事をしていきたいのか、どういう人になりたいかっていうキャリアビジョンがないと、人って成長しないと思うんですよね。
だから、人事の方は、キャリアビジョンを聞くことで、未経験だったらポテンシャルがあるかとか、成長意欲や主体性があるかとかを見ていますね。
特に20代の場合はキャリアビジョンを答えられるかどうかでかなり差がつくポイントだと思います。
ーキャリアビジョンを答えるときの注意点とかはありますか?
会社の方向性と合っている内容を話すってことは注意すべきですね。
これは嘘をついてまで会社の方向性に寄せる必要はないですけどね。ミスマッチに繋がってしまうから、方向性が違うならそもそも受けない方が良いと思いますけど。
あくまでも、求人票とかホームページとかを調べて、自分のキャリアビジョンと会社の方向性が合っているから志望しましたってアピールできた方が良いと思います。
5.その他の質問
ー「他に受けている企業はありますか?」「何社ぐらい受けていますか?」とか、選考状況を聞かれた時にはどんな回答を心がけるといいですか?
これはなかなか難しい質問ですよね。
もちろん、多くの方は複数社受けていると思うので、正直に「複数社受けています」っていうのが答えたら良いと思うんですけど、
数十社受けていたり、受けている業界や職種、会社の規模とかに一貫性がないと、ちゃんと企業研究しているのかなとか、どこの会社でもいいのかなって思われてしまうので、「こういう業界・職種の会社を数社受けています」って答えると良いと思います。
交渉をするっていう意味では、「まだ悩んでいて、自分の希望とマッチする会社を探している最中です」って伝えることもテクニックとしてはありますね。
ー他の会社も検討していることを伝えることで、交渉に繋がるということですか?
「御社が第一志望です」って本音だったらアピールすれば良いと思うんですけど、他の会社も迷っていることを伝えることで、「どうしてもこの人を採用したいな」って思わせて年収交渉に繋げることもできます。
ー年収の希望額を聞かれることもあると思うんですけど、どう答えれば良いですか?
「前職ではこれぐらいもらっていて、同額かそれより少し上げてもらえると嬉しいです」というのが無難ですかね。
面接の段階で年収の交渉をするよりも、内定をもらった後にオファー面接っていうのを設けてもらって、条件面だったりとかをすり合わせておく方が良いと思います。
エージェント経由で内定を獲得した場合は、担当者が年収交渉も行ってくれるので、基本的には転職エージェントの方に任せたほうが良いと思いますけどね。
6.逆質問
ー逆質問は何個ぐらい用意しておくと良いですか?
最低2つ、できれば3つぐらい用意しておくと良いんじゃないかって思いますね。
質問がないってことはうちの会社に興味がないって思われる可能性があるので、事前に考えておくべきですよね。
「どういう事業課題がありますか?」
「こういうキャリアパスはできますか?」
とか、あとは面接官の方が入社を決めた理由とかを聞くのも良いと思います。
そうすると、その人がなぜその会社に魅力を感じたのか、どういう風になりたいからその会社を選んだかって聞けて、そういうところもあるんだって会社に関する新しい情報を得ることもできます。
そして、その内容に共感できるとお互い嬉しいし、話も盛り上がりますよね。
ー共感することで志望動機の補足にもなりますよね。
そうですよね。
だから、逆質問は企業について詳しく知るっていうだけでなく、自分をアピールすることにも活かして欲しいなって思いますね。
面接は事前準備が重要!
ー面接前に今回解説していただいた、6つの項目に対する回答を準備しておくといいんですね。
はい、特に志望動機、自己PRは必ず聞かれますから、絶対に考えておいた方がいいです。
せっかく書類選考に通過して、面接のチャンスを掴めたのだから、しっかりと準備して臨んでいただきたいと思います。
ーありがとうございました。
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