人事のプロ考案、月々5000円で学べる『人事の学校』の内容とは?|フォー・ノーツ株式会社代表西尾太氏に聞く

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2022年5月18日に2009年から延べ5,000人以上の人事担当者が受講し「人事の原理原則を体系的に学べる」と人気の講座「人事の学校」がe-ラーニングサービスとしてリニューアルされました。(https://www.fournotes.co.jp/jinjischool/)今回は、代表の西尾太氏に、人事を学ぶ上で大切なこと、「人事の学校」eラーニングサービスで学べることをお話しいただきました。

西尾太
フォー・ノーツ株式会社 代表取締役社長
いすゞ自動車人事部門、株式会社リクルート人材総合サービス部門を経てカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)にて人事部長、株式会社クリーク・アンド・リバー社(東証プライム市場上場)で人事・総務部長を務める。2008年にフォー・ノーツ株式会社を設立。2015年には著書「人事の超プロが明かす 評価基準」を刊行、amazon人事・労務カテゴリ1位・会社経営カテゴリ1位を獲得。これまで1万人超の採用・昇格面接、管理職研修、階層別研修、人事担当者教育を行う。

ー今日はお時間ありがとうございます。今回、「人事の学校」がeラーニングサービスで学べるようになったということですが、まずは「人事の学校」についてご紹介いただいてもよろしいでしょうか?

人事の全体像を体系的に学べる「人事の学校」とは?

人事の学校は、人事担当者が押さえておくべき人事の全体像と各人事領域に関する基礎知識の学習をワンストップで提供する企業の人事担当者向けの学習プログラムです。

人事のことを学ぶときは、人事の全体像を俯瞰的に見た上で、採用をやる、制度を企画運用する、教育体系を作る、などと各論に入っていくことが重要なんです。

「人事の学校」は、そのような「俯瞰的視点」の掴み方や各領域における人事の考え方を重点的にお伝えする講座です。

人事の学校で学習する内容

ー人事のことを勉強する時に、何から学んだらいいか分からないって人も多いですよね。

そうなんです。何から学んでいいか分からない人がやってしまいがちなのが、社労士の勉強から始めることです。

社労士の勉強から始めると法律の勉強など難しいことばかり覚えなければならず続かないんですよ。また、これは人事業務のごく一部の知識でしかありません。まずは広く浅く全体を捉えることの方が大事だと考えています。

人事を学ぶ上では、各論から学び始めるのではなく、全体像から掴んでいくことが重要です。

例えば、パッと都道府県の画像を出されて、「これは何県でしょうか?」と聞かれてもわからないですよね?

この県はどこでしょうか?の画像

これは栃木県なんです。左上に中禅寺湖がありますね。

都道府県と栃木県の画像

人事を学ぶ時にみんな栃木県から学び出すんですけど、栃木県をどこまで深く学んだって日本全国は見えてこないんです。

やはり最初に日本地図を見てから、栃木というのは、右側に茨城があって、左側に群馬があって、上に福島があるんだなという風に学ぶべきなんです。

そのように、人事の全体像が分かっていないと何から学んだらいいか分からない状態になって、労働法規から始めてしまいドツボにハマる人が多いんですね。

ちなみに、「人事の学校」では労働法規は24時間中1時間程度しかありません。

これだけ知っておけばいいという情報だけ押さえておき、あとは人事業務を行う上で、問題の匂いを感じられるようになることが重要です。

人事担当者は、仕事をするなかで「あれ、これ大丈夫かな?」という匂いを感じたら、社労士さんとか弁護士さんに相談して解決できればいいんです。社労士さんや弁護士さんになる必要はありません。

ー人事の学校ではどういう学びを得られるんですか?

人事のやり方というよりも、考え方を学ぶことができます。

ジョブ型雇用や成果主義など様々な制度がありますが、どういう考え方でそれをやるのか?

そもそも、なぜウチは新卒採用をやるのか?中途採用ではだめなのか?

そのように、人事の各施策は何をやるのかよりも、どう考えてやるのかが重要なんです。考え方をしっかりしてからやり方を入れないと失敗するんですね。

だからこそ「どう考えればいいのか?」を学んでいただいて、そこから「うちの会社は、こう考えるから、これをやる」という自分たちの会社のやり方を考えていただきたいと思っています。

それから、人事の色んな施策の繋がりですよね。

人事の全体像と人事部門の役割を以下のカリキュラムの「基礎講座1」で学んで、それから各論でそれぞれ大事な考え方をお伝えしています。

人事の学校のカリキュラム

ー人事を体系的に学べる教材はあまりないと思いますし素敵なサービスですね。この「人事の学校」というサービスを始められた経緯も聞かせてもらえますでしょうか。

少し長くなりますが、僕のキャリアと絡めながら説明しますね。

これまでの人事経験で学んだこととは?

社会人になった時に、いすゞ自動車という会社に入社しました。

みんなが金融業界に行く時代だったんですが「そんな金回してどうすんの?」みたいな気持ちもあって、車が好きなんで「車に関われればいいな」と思いまして。

そう思って入ったら、工場の事務部労務課という人事部門に配属になったんです。

工場の人事って採用もあれば、労務問題も起これば、評価の調整の仕事もありますし、何でもやるので、今から思えば非常に良い経験でした。

ただ、人事の先輩方のキャリアを見てみると、確かに他の職種より、多少は出世が早そうではあるが、外で通用する人材になれる気もしないし、お給料がそこまで高い訳でもないし、何やってんだろうなー、と思ってしまったんですよね。

ー人事の仕事に疑問を感じたということでしょうか?

人事を2年ちょっとやったんですけど先が見えないなと思って、それでリクルートという会社に勢いで転職して求人広告の営業をやりました。

みんな僕のことを「よく喋るから、営業向きだ」と言うんですけど、7年いましたが、あんまり売れない営業でしたね。

営業目標に対してストイックな環境でそれなりに楽しかったんですが、あんまり営業は得意ではなかったので、どうしようかなと思っていた時にCCC(※カルチュアコンビニエンスクラブ)に採用してもらったんです。

最初は社長室に配属されて、社長の資料作成などのサポートをしていましたが、2年目のときに「お前これからどうすんだ?」って言われて人事に行かせてもらったんです。

ー9年ぶりに人事に復帰されたんですね。

人事になったときは大変でしたね。当時のCCCの退職率はかなり高かったんです。

僕は1998年に入社したんですけど、前年の97年に新卒を300人も採用したんです。

人事制度が整っていないのに大量採用してしまったから社員がどんどん辞めていきました。

だから、僕が人事に行っても毎日のように退職面談をしていました。

人事制度もちゃんとしたものがなくて、一般給与制と年俸制という2つのワケ分からない給与体系があって、「なんで辞めるの?」と社員に聞くと、「先が見えません」と言って辞めていくわけです。

僕も2年ちょっとしか人事経験がなかったから、やっていることが正しいかどうか分からないし、どうにもできない状況でした。

そんなところに、人事としての経験豊富な上司が入って来て、「新卒採用も教育もこのままじゃあかん!」と言われたんです。

それから人事というところは「全体像を見なきゃ、全体像を見ながらやらなきゃあかんで!」という事を教わりました。

人事は、会社が大事にしている経営理念を理解して、会社がどっちに行くのかという方向性を示すものであるという教えでした。

具体的には、採用だけ切り出しても駄目だし、人事管理だけ、教育だけやっても駄目だし、全部繋がっているから「つながりで考えなきゃあかんのや」みたいな事です

僕もリクルートにいたんで採用はそれなりには詳しかったし、いすゞにいたから労務は経験があったんですが、この全体像は全然見えていなかったんです。

それから4年間、みっちりその上司に叩き込まれて、ようやく「人事ってそういうことなのね」というのが若干分かった気がしました。

その後、CCCを辞める時に、当時の人事担当役員から「やめるんだったら今までやってきたことを全部書き起こしてくれ」と言われて、人事ポリシーマニュアルを作ることになりました。

その人事ポリシーマニュアルを書くことによって、自分の中の人事に対する経験・考えを整理することになったんです。

西尾さんの写真

ーその時に人事で学んだことを整理したんですね。CCCを辞めた後は、どうされたんですか?

CCCで人事としてやったことが、お世話になった上司のいないところでも通用するのかなと思ってクリーク・アンド・リバー(※東証プライム市場上場のクリエイター・エージェンシー)に入りました。

そこで、基幹的人事機能の形を整えました。人事制度も良くなったし社員の定着率も上がったし、退職率も半分ぐらいになりました。

その時に社長に、「人事が良くなったから、お前ちょっと営業やってみないか?」と言われたんです。

とてもありがたいお話だったんですが、人事でキャリアを作ってきていたんで、また営業をやりたい訳でもないし、人事部長のままでもその先は管理本部長で経理を見ないといけないんですが、数字が嫌いですし。

それで、「結局転職しても、また同じだよな」と思って、だったら「色んな会社の人事のお手伝いができたらいいな」と思い、独立もありだなと考え始めたんです。

ーそれで人事の支援を始めたんですね。

そうですね。独立するときに考えていたのは、

「どこの会社でも人事制度の形はそんなに変わらないはずだ」「どこの会社でも必要とする人事の機能がある」ということです。

CCCで学んだことをクリーク・アンド・リバー社でもそのままやってみたら出来たんです。だから人事を体系化できるんじゃないかと思っていました。

それで2008年に独立していくつかの会社でコンサルをやったら、全く業態も規模も違うのに基本的なところはやはり一緒だったんです。

その時に、こういった人事の全体像をお伝えする講座をやろうと思ったことがキッカケでした。

ーそういった経緯だったんですね。次に今回のリニューアルについてなんですが、どういった経緯でリニューアルされたのでしょうか?

人事の学校のHP

コロナ以降、学べるコンテンツも急速に変わってきたと思っています。

同じ時間に同じ場所で一つの講座を見るよりも、10分刻みぐらいで通勤時間などに見る方が求められているのではないかと思って、eラーニングとしてリニューアルしました

今までオフラインでやっている時には、テキストを机に置いて、パワーポイントで説明して、ホワイトボードも書いて、とやっていたんです。

でも、今回のリニューアルのポイントとして、一応テキストはダウンロードできるようにしていますが、テキストがなくても画面だけで学べるようにしています

テキストに書いてあることは、ほとんどパワーポイントにしてありますから、画面だけ見れば学習できる形ですね。

講座の中身も少しリニューアルしまして、リモートワークが進んだり、働き方が多様化している所も織り交ぜて、少し時代に合わせた内容を書き加えました

でも、やはり外したものはほとんどないですね。

結局、時代が変わっても、人事の原理原則というか重要な部分は変わらないものなんですよね。

古いものばかりがいい訳ではないですが、例えば、「どこそこの会社が何かやってるぞ」と新聞記事になったことも、3年後ぐらいに改めて見てみると頓挫していることが多いですよね。

「自分の会社でもやりましょう」とやって、何でうまくいかないのかというと、「そもそもベースとなる人事制度がちゃんとできてないからでしょ」という話なんです。

このスライドでいうベタベタな人事、ベタな人事と書いてある領域が基本的で最も重要な領域なんです。

10年以上やってきているけれど、基幹的人事機能の部分は基本的には変わっていないと思っています。

人事制度の種類

そういった面で流行りものに飛びつくと失敗しますし、歴史や基本を知ることが必要ですから、時代が変わっても普遍的に通用するものを入れて長持ちする講座にしています

論より証拠というわけではないですが、2010年に「人事の学校」のテキストを、赤本が基礎編、青本が応用編という形で書かせていただき、これまで1万部以上売れていまして、有難いことに10年以上経った今年も増刷しています。

時代が変わっても普遍的に通用することを伝えているのが、「人事の学校」の良さだと思っています。

人事の赤本・青本

(左図)「人事担当者が知っておきたい、10の基礎知識。8つの心構え。」、(右図)「人事担当者が知っておきたい、8の実践策。7つのスキル。

ー他のサービスとは違う「人事の学校」の特色を挙げるとすれば何になりますか?

人事全体のことを、全部1人の考えに基づいてやっている講座は世の中に多分ないと思います。

他社で提供されている人事入門講座みたいなものもありますが、結局各領域によって講座を担当している人が違うんです。各領域をより詳しく学ぶのならばよいと思いますが、まず基礎を学ぶのであれば、全体を通して同じ言葉・考え方で一人が伝えるのもよいのではないでしょうか。

それは人事コンサルの業界にも言えることですが、人材教育に詳しいとか、労務に詳しいという人はたくさんいるし、そういう会社もいっぱいあるんですが、全体像から考えられるところは多分あまりないでしょう。

人事というのは各領域がすべて繋がっているので、一貫した考え方でつくった人事の講座を提供できることにこそ意味があると思います。

評価と教育は表裏一体ですし、給与と労務も表裏一体です。

採用、配置、育成、全部が繋がっているから、各論だけ語っても繋がりが見えないということなんです。

今、人事をやっていて「給与計算をやっています」という人でも、給与計算をやる時にどうやってその給料が決まっているのかというと、人事制度がそこにあるんですよね。

だから、これから人事をやる人には各論などで偏った勉強の仕方をするよりは、「人事の学校」で人事の全体像を学んでほしいと思っています

人事の全体像を学ぶ上で、1人が同じ考え方でやっている講座というのは強みだと思っていますし、人事も20年以上経験して、「人事の学校」を10年やってきて、「間違っていない」という自信がある内容になっていますから。

ー「人事の学校」はどんな方に受講してほしいですか? 受講される方は人事部長を目指される人やCHROを目指される方が多いのでしょうか?

人事部長を目指さなくても、企業の中で人事に携わってる人が受けてくれたらいいと思います

例えば、中小企業で1人で人事をやっている方とか、急に人事の仕事を任されて何から学べばいいか分からないという方などですね。

今まで来てくれた人の中には、経営者の方も結構いますし、人事部長さんも来ていますし、人事部長が「俺教えるヒマないから、うちの若いやつに受けさせるわ」と言って若手の社員が受けに来てくれることもあります。

そういう点では、人事をやっている人はみんな受けてほしいと思います。

僕がよく思うのは、社長からも現場からも信頼されている、エースと言われる人材に人事のことを学ばせるのが良いと思うんですよね

実は、外から人事を採用して失敗している会社さんも多いんです。会社の理念に合わないとか、その人の経験が活かせなくて辞めてしまう場合もあるんですが、

そもそも、採用もできて、教育や労務もできるっていう人材は採用市場になかなかおらず採用できないんです。

だから「人事ってどうすればいいのか?」という概観は、ほんの24時間学べば何とか分かるので、人事のことはこれから学んでもらえばいいんです。

それよりも大事なのは、経営からも現場からも、一定の信頼を得ていることです。

人事は、やはり信念がないと駄目なんですね。人事が色々なことに信念を持ってやらないと、経営からも信頼されませんから。

その上で、経営に駄目なものは駄目とちゃんと言えないと、結局、現場からも信頼されませんよね。

人事が一定の信頼を社員から得られれば、社員は会社を信頼することになるんです。

だから、支援している会社さんには、社長にも信頼されていて、現場のことも分かっているっていう人を人事担当者に抜擢することをおすすめしています。

西尾さんの写真2

ー「人事の学校」以外では、フォー・ノーツではどんなことをやっているんですか?

僕と人事の経験があるコンサルタントで大手企業から中小企業まで幅広くお手伝いさせていただいております。最近では、病院や学校、神社などからもご依頼を頂いています。

主に人事制度の構築をお手伝いすることが多いですけど、社内での昇格試験を作ったり、管理職の教育研修を実施したり、人事機能をゼロからつくるなど、人事に関することは全般的にお手伝いしています。

特に評価基準という本が5万数千部売れていてたくさんの方に読んでいただいているんですけど、

ここで紹介されている、どこの会社でも通用する、キャリアステップに必要な行動をコンピテンシーモデルというんですが、これはいろんな会社さんで採り入れていただいていますね。

評価基準の画像

(「人事の超プロが明かす評価基準」)

本ではどの会社でも通用する体系をお伝えしていますが、一定の体系をもとに自社ではどうするかという考え方を整理したうえで、「会社の社員に対する考え方」を明らかにする人事ポリシーというものを策定するというのが重要だと思っているので、

人事制度の構築はもちろん、人事全般でお困り事がある方はぜひ相談いただければと思います。

ー今回は、とても濃密な話が聞けて勉強になりました。本日は、お忙しいところありがとうございました!

こちらこそ、有難うございました。

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