転職業界20年のプロ、オブリージュ代表の大川章さんに、はじめて転職する人に向けて「転職活動のやり方」を解説していただくコラム。第4回は「企業選び」についてです。応募する求人の選び方や理想の企業を見分ける3つの方法についてお話しいただきました。
大川章 オブリージュ株式会社/代表取締役 ベンチャー企業、外資系企業を中心としたサーチエージェントであるオブリージュ株式会社の代表。テクノブレーン株式会社、ジェイエイシージャパン(現ジェイエイシーリクルートメント)、オムロン系の人材会社等を経て現職。 千葉県在住。(オブリージュ株式会社HP: http://www.oblige-jpn.com/ )
(※本インタビューはZoomで実施し、写真撮影時のみマスクを外しています)
たくさん応募すべき?絞って応募すべき?
ー今回は、転職活動での求人選びのポイントについて伺えればと思います。
はい、よろしくお願いします。
ー転職活動では、何社ぐらい応募するのがいいんですか?
僕は、自分がちょっとでも共感を持って、「ここを受けてみたい」と思ったところを5社以内に選定して対策を立てて受けるほうが良いんじゃないかなと思いますね。
大手の転職エージェントに相談した方によくあると思うんですが、20社ぐらい紹介された求人に一括で応募してしまうのは、僕はあまりおすすめしないです。
要は、エージェントさんに、「こっちの方で全部出しておきますから」って言われて、提案されたからとりあえず受けますっていうのは良くないと思います。
たくさん応募して、選考に通過した2〜3社から転職先を決めていくっていうのはエージェント側からすると効率的だけど、人材側からすると、どこに出したか分からなくなってしまうのはちょっと怖いですよね。
ー複数社のエージェントを利用する方だと、同じ求人に複数社のエージェント経由で応募してしまうっていうトラブルにもつながりますよね。
同じところを紹介されて両方から応募していたっていうこともあり得るので注意しないといけないですよね。
そうなってしまうと、管理ができない人なのかなって思われる可能性もありますし。
自分で応募しようと思ったら過去にエージェント経由で応募していて落ちていたから受けられないってこともあるので。
ー1度書類選考で落ちてしまうともう一回受けられないってこともあるんですか?
まあ、一回落ちていたら多分もう一回落とされますからね、結果的には。
ー同じ履歴書・職務経歴書で一括で応募してしまうと、使い回ししているものだなって分かって落とされてしまいそうですよね。
人事側も分かってしまうと思いますね。
志望動機とかも「御社の企業理念に共感します」ぐらいしか書けないですから、使いまわししているものだなっていうのは分かってしまうし、それで落ちてしまうともったいないですよね。
ただ、履歴書じゃなくてエージェント用の登録シートを出すっていう場合もありますけど、自分でどこの企業に応募したかっていうのは把握しておいた方がいいですね。
だから、あんまり転職エージェント任せにせずに、紹介された中から自分でここは受ける、受けないってしっかり考えて、エージェントの方と信頼関係を築いていくっていう方がいいと思います。
ー紹介されてからすぐに応募せずに、少し考える時間をくださいって言えば良いのでしょうか?
そうですね。「自分で企業のホームページとか調べたいので数日お時間ください」って言って自分なりに企業のホームページとか口コミサイトとかを調べるべきだと思います。
そこはエージェントさんとは対等な関係だから全然失礼でも何でもないと思うので、その方が良いと思います。
理想の企業に入社する方法
考えるべき条件 ・規模 大手・中堅・ベンチャー ・業種・業界(成長orレガシー・未発達) ・業態(事業会社orベンダー)
ー応募する企業はどうやって決めればいいですか?
転職をする目的に対してどういう条件の会社がいいかって具体的にしていくといいですね。
大手なのか?中堅なのか?ベンチャーなのか?
っていう会社の規模がどうなのかという目線もあると思いますし、
成長企業か?レガシー産業か?これから伸びるんじゃないかっていうベンチャーに行くか?
というような業種・業界目線もありますよね。
そのへんをしっかり相談できる人に自分はどういう企業が向いているのかとか話をしていく必要があると思います。
たとえば、エンジニアだったら、社内で開発する事業会社に行くのか、ソリューションを提供するベンダーに行くのかで全然仕事内容が違うので、どういうキャリアを築いていきたいか、どういう立場で仕事をしたいかや会社の規模を決めて、受ける企業を絞っていくと形になると思います。
ー年収を上げたいと思った場合だったらどうすればいいですか?
年収が上がる場合っていうのは、その人が活躍していて市場価値が高いのが前提で、基本的には上がらないですけどね。
一度年収は下がるけど、結果を出せば数年後に上がる可能性がある会社を選ぶっていうのはよくありますね。
その可能性を見極めるためにもう一度エージェントに相談した方がいいですね。
ー転職で年収が上がるときってどういうケースがありますか?
結果を出せば年収が上がる制度があるベンチャー、IT企業とかが多いですね。
基本的に若い人を採るときは投資と考えているので、あんまり高い給料を出してもらえないですけど、ポテンシャルが高い人は吸収が早いので、一度年収は下がっても、結果を出して次の年に昇給して50万円ぐらい年収が上がるっていう場合もIT業界だとありますね。
そういう意味では、成長している業界・会社に入るのがいいと思いますね。
会社の売上も右肩上がりだし、株価も堅調だしとか伸びている会社だと給料も上がりやすいので、成長産業に飛び込むべきですね。
ー劣悪な就業環境を変えたい場合はどういう条件の会社がいいですか?
一概には言えないですが、残業が少ないところを選ぶっていうのがいいですね。
みなし残業制を採用している会社の場合で40時間とか比較的多い場合は残業時間が長いのかなって感じはしますね。
最近では会社の口コミサイトがあって、そこには実際にその企業で働いている社員の残業の頻度などについて詳しく書かれているので、口コミを確認するっていうのもやっておくと良いと思います。
あとは、できれば「若い社員」と話をしたいと面接官の方やエージェントに相談して、面談の機会を設けてもらうのもいいですね。
ー実際に面談の機会を設けてもらえるんですか?
企業が本当に採用したいって思ってくれているなら、そういう時間を設けてくれるので、遠慮なく相談してみるといいと思います。
活躍している人はどういうキャリアなのか、頑張っている人がちゃんと評価されているのかとか聞いておくといいですね。それで自分に当てはめて、こういう結果を出せばちゃんと年収を上げていけるのかとかが分かりやすくなるので、できる限り聞いておくと良いと思います。
一次面談の前にカジュアル面談をやっている企業もありますし、内定をもらった後にオファー面談とかをやっている企業もあります。
面談では、給与面のことだったり人事制度とかを説明してもらえるので、そこですり合わせをしておくことが重要だと思います。
最近オファー面接をする会社も増えていますけどね。
理想の企業に入社するには情報収集が重要
ー理想の会社かどうか見極めるためには、ホームページや求人票からは知ることができない会社の社風や制度について自分で調べたり、実際に働く社員から話を聞く機会を設けてもらうことは重要ですね。
企業選びは、人生を左右するものなので、自分がどういう仕事をやりたいのか、どういう環境で働きたいのかをじっくり考えて、それが実現できる企業かどうか、しっかり見極めた上で選んで欲しいなと思います。
ーありがとうございました。
大川さんへのご相談はLinkedinからどうぞ
Linkedin URL:https://jp.linkedin.com/in/章-大川-1ab087114/ja
オブリージュの取組みについては下記URLをご確認ください
ホームページ URL:http://www.oblige-jpn.com/