- 訪問看護ってどんな仕事?
- 訪問介護や病棟勤務の看護師との違いは?
こういった疑問を持つ方に向けて、訪問看護ステーションで働く筆者が、訪問看護の仕事内容について解説します。
訪問看護の仕事に興味がある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
周田佳介
21歳で正看護師取得。それまでは訪問介護事業所で訪問介護員として勤務する。23歳で介護福祉士取得。急性期や慢性期病院で看護師として勤務する。27歳で介護支援専門員、医療的ケア指導看護師取得。特養やグループホームで従事しながら喀痰吸引等研修や実務者研修での講師を兼任する。30歳の時に訪問看護ステーションへ転職し、31歳で管理者となり、現在に至る。
訪問看護ステーションとは
訪問看護師の仕事は、介護保険や医療保険などを利用して高齢者や医療的ケアが必要な小児、精神疾患などの疾患を持っていても、在宅で生活を継続できるように看護師が自宅や施設を訪問して看護を提供します。
訪問看護師が所属し、個人情報の管理や必要な事務業務、ケアカンファレンスなどを行う場所が訪問看護ステーションとなります。訪問看護ステーションを開設するためには法人格が必要であり、常勤換算で2.5人以上(実質3人以上)の看護師が必要になります。
訪問看護ステーションの役割としては事務作業などの他にも、地域の高齢者などからの介護に関する相談場所として開かれており、もしも相談があった場合には、必要な行政や医療機関、居宅介護支援事業所などにつなげる役割を担っています。
訪問看護ステーションは地域の健康や生活の維持をするために必要不可欠な社会資源です。地域包括ケアシステムの中でも在宅医療には必ず必要な立ち位置を担っています。
訪問看護の仕事内容
訪問看護の仕事としては主に下記のようなものがあります。
- 看護技術、リハビリテーションの提供
- 利用者のアセスメント
- 利用者やその家族からの相談と対応
- 利用者をとりまく他社会資源との調整
- 主治医や関係機関との連携
それぞれとても大切な役割となるため、1つずつ見ていきましょう。
訪問看護の仕事内容1:看護技術の提供
自宅に訪問して入浴介助や排泄介助を行うなどの生活に関する援助に加え、医師の指示により摘便や創傷の処置、膀胱留置カテーテルの管理、点滴などの医療行為をします。
訪問看護の仕事内容2:利用者のアセスメント
ケアマネジャーや医療機関からの情報をもとに本人と面談をし、さまざまな援助を行っていく中で、利用者の状態を看護の視点で情報収集と分析をし、必要な看護を提供できるように問題を明確にします。
訪問看護の仕事内容3:利用者やその家族からの相談と対応
在宅で生活する中で、体調の相談や制度についての相談、精神的な不安などの相談を受けることも多くあります。そのような時にはしっかりと寄り添って傾聴し、解決できるように多職種と連携して動きます。
訪問看護の仕事内容4:利用者をとりまく他社会資源との調整
訪問看護師は生活の中に入って支援を行います。ケアマネジャーや主治医は月に数回しか顔を合わせることがないため、訪問看護師からの情報がとても重要になります。また訪問介護事業所等とも情報共有を行うことで、統一したケアを行うことができます。
訪問看護の仕事内容5:主治医や関係機関との連携
訪問看護は主治医の指示書やケアマネジャーのケアプランがなければ、保険利用をして提供することはできません。(保険を利用しない自費サービスは無くても可)そのため、各事業所への報告、連絡などはとても大切になります。
訪問看護と訪問介護との違い
訪問看護 | 訪問介護 | |
---|---|---|
身体援助 | ||
生活援助 | ||
医療行為 | ||
通院等乗降介助 |
訪問看護と訪問介護の違いは、「看護」を提供するか「介護」を提供するかの違いがあります。看護師免許を所有する訪問看護師と介護福祉士や介護福祉士実務者研修などの研修修了者を所有する訪問介護員に分けられます。
訪問看護と訪問介護では同じ点(同様の仕事内容)もあり、ケアマネジャーなどによるケアプランに沿って自宅に訪問し、援助を行うことは同じでしょう。入浴介助や排泄介助、食事介助などの生活に必要な身体援助を行うことができます。
訪問看護は医師の指示により医療行為ができますが、訪問介護員が行う生活援助は基本的にはできません。生活援助をしたとしても訪問看護費の請求はできないため注意しましょう。病的な爪の爪切りや自動血圧計以外での血圧測定などは訪問看護師で行うこととなります。
また訪問介護は通院等乗降介助ができますが、訪問看護では通院等乗降介助をしても算定できません。必要な場合にはケアマネジャーと相談して訪問介護導入の検討を働きかけましょう。
それぞれの専門性があるため、訪問看護、訪問介護のどちらが上位などという考えは捨てて、連携する必要があります。
訪問看護と病棟勤務の看護師との違い
病棟勤務の看護師(以後、病棟看護師)と訪問看護師とでは、看護の役割が変わります。看護師の主な役割は、
- 療養上の世話
- 診療の補助
です。患者や利用者に対しての看護行為は、病棟や自宅など場所は関係なく実施することとなります。
病棟の看護師は、入院患者に対して生活のお世話もしますが「治療」が中心です。大きな役割としては診療の補助になるでしょう。しかし訪問看護は、自宅で療養している利用者に対して看護を提供するため、「生活」が中心になります。そのため療養上の世話が主になります。
また、大きな違いとして、医師が近くに居ない、医療物品が十分にはそろっていない場合があるなど環境の違いがあります。主治医はそれぞれの訪問看護指示書を発行している医師がいますが、病棟のように電話で連絡してすぐに駆け付けることは難しい場合が多いです。
そのため訪問看護師で大切なスキルは、適切なアセスメントができることとなります。きちんと利用者の状態をアセスメントして予後予測をし、医師に状態を伝えて早期発見、早期治療につなげる必要があります。
訪問看護の仕事の1日の流れ
ステーションによっては、直行直帰を許可しているステーションもありますが、今回は始業時間にステーションに来て、訪問全てが終了したらステーションに戻るシステムになっているステーションを例に見ていきましょう。
8:30~ | ステーションに出勤。夜間のオンコール内容や本日の予定の確認、訪問準備 |
8:45~ | ステーションに出発。必要物品を持って社用車で利用者自宅へ |
9:00〜 | 利用者宅訪問。医師の指示書、ケアプランに沿ってサービスを実施後、記録をする |
10:00~ | 移動。次の自宅やステーションへ向かう |
12:00~ | 休憩 |
13:00~ | 移動。午後から予定が入っている利用者宅へ向かい、看護を実施する |
17:00~ | ステーションに戻る。翌日の準備や管理者に報告があれば報告、相談する |
17:30~ | 終業。 |
直行直帰のステーションの場合は、ステーションに行かず、そのまま利用者宅へ訪問します。その場合は前日に必要物品を準備して持ち帰ることが必要になるでしょう。
訪問看護に向いている人
訪問看護が向いている人の特徴は次のような点があります。
訪問看護は訪問時間がケアプランによって決められており、多くの場合は30分から60分程度の時間でケアを行います。週に数回会う程度ですが、その時間はその利用者とマンツーマンで関わることができます。そのためしっかりと向き合った看護がしたいと思う方は向いています。
また1人で行動することが多いため、家族や他職種と連携を取ることも多くなります。コミュニケーション能力が高い人は情報伝達やチームワークを保つことができるため強みにもなるでしょう。ケアに対して自分で考えて主体的に行動できる人も向いている傾向にあります。
訪問看護の対象者は小児から高齢者に渡り、さまざまな疾患を持つ人と関わります。その人たちの生活を支援するため、時には治療よりもQOLを優先した考え方をする必要が出てきます。医療に固執せず、生活を支援するという考えの人は訪問看護を楽しむことができるでしょう。
訪問看護に向いていない人
訪問看護に向いていない人の特徴としては下記のようなものがあります。
- 医療中心のケアを行いたい人
- 短気な人
- 会話が苦手な人
- 潔癖な人
訪問看護に向いている人でも解説しましたが、訪問看護は生活を中心とした考え方で支援していきます。そのため医療中心のケアをしたい人や医療処置をどんどんこなしたい人は向いていない傾向にあります。生活中心のため、時には医療の優先順位を下げる必要があることもあります。そのときに自分の気持ちをきちんと整理できれば問題ないでしょう。
性格から考えても怒りっぽい、急かしやすいなど短気の人はゆっくりと利用者の気持ちを汲み取れる会話ができず、利用者主体の療養生活ができなくなってしまいます。穏やかに話しかけて気長に待ってくれる人の方が、ケアされる側の立場になったとき、訪問してほしいと思えるのではないでしょうか。
利用者の自宅は清潔な自宅とはかぎりません。独居で長い入院生活をしていると、自宅は清掃ができず埃やゴミ、排水管からの匂いなどが出てきてしまいます。そのような自宅にも訪問し、ケアを行う必要があるため、潔癖の人は精神的に辛いでしょう。
スリッパや靴下の替えなど準備していると、汚れたときにすぐ履き替えることができ、精神的な苦痛は軽減されます。
訪問看護の仕事の大変な点
訪問看護の仕事は楽しいことや嬉しいこともたくさんありますが、その反面、大変なことも数多くあります。実際に現場を体験して大変な点が下記になります。
- 夏や冬の天候は移動に困る
- 夜間にオンコールが鳴り、対応することがある
- 自宅に置いてある物品の場所が変わる
訪問看護を行っているうえで、どうしても欠かせないのが自宅から次の予定場所までの移動です。夏は炎天下で車の室内温度は高まり、自転車でも体力が奪われてしまいます。冬になると極寒の中、訪問しなければなりません。熱中症対策と防寒対策が必ず必要となります。
また日中はしっかり勤務して、自宅で休んでいるときにオンコールが鳴ることもしばしばあるでしょう。プライベートの気分から即座に切り替えて、緊急訪問に出なければならないこともあります。休んでいても気持ちが休めていない状態になるため、しっかりと休息できるようにしましょう。
同じケア内容でも利用者宅に置いてある物品は、同じものを揃えているわけではありません。その都度確認し、利用用途を考えながらケアを行います。保管場所や洗う場所なども自宅それぞれですので、慣れるまでは戸惑うことも多いでしょう。
訪問看護の平均年収
訪問看護の平均年収は全国的に見ると、正社員で378万円とデータが出ています。アルバイトで平均時給1,227円、派遣社員で平均時給1,457円となっています。日本の平均年収よりも低い傾向にありますが、新卒とベテラン管理者、経営者などとでは約300万円から約921万円と給与幅が大きくあります。
地域別にみると、最も平均年収が高い地域は東京都で均年収379万円、最も平均年収が低い地域は292万円の宮崎県となっています。
経験やスキルが無い状態では年収も低くなりますが、しっかりとスキルや経験を積めば増加幅は増えていく傾向にあります。就業経験に合わせて訪問看護の質を高められるよう、努力しましょう。
また資格を取得し利用者のためになる技術であれば、実際の現場では活用する機会も多くなります。また訪問看護は訪問看護師1人1人の意識で経営状態が変わってきます。経営状態が良好であれば、賞与が増えて年収が増加する可能性もあります
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