転職業界20年のプロ、オブリージュ代表の大川章さんに、はじめて転職する人に向けて「転職活動のやり方」を解説していただくコラム。第13回は「キャリアチェンジ」についてです。キャリアチェンジしやすい転職先選びの3つのポイントについてお話しいただきました。
大川章
ベンチャー企業、外資系企業を中心としたサーチエージェントであるオブリージュ株式会社の代表。テクノブレーン株式会社、ジェイエイシージャパン(現ジェイエイシーリクルートメント)、オムロン系の人材会社等を経て現職。 千葉県在住。
キャリアチェンジを成功に導く!転職先選びの3つのポイント
ー今回は、「キャリアチェンジ」や「異業種への転職」などについて聞いていきたいと思っています。
はい、お願いします。
まずはじめに、キャリアチェンジと異業種への転職って何となく似ていますが、全く同じことではないんですよね。
キャリアチェンジの中には、異業種への転職だけでなく、他にも異職種だったり未経験の仕事にチャレンジすることも含まれているんです。
ーそれも含めてキャリアチェンジ全体のことを聞いていけたらなと思います。
そうですね、今日は、そのへんのところも少し整理しながら考えていきましょうかね。
その方がキャリアチェンジを考えている人にも、わかりやすいと思います。
未経験でもキャリアチェンジしやすい?!転職先選びの3つのポイント
ーキャリアチェンジを成功させるための求人選びで何かポイントはありますか?
そうですね、もちろんポイントはありますよね。
まずは業種から入って、それから比較的未経験者を受け入れているような企業を探すっていうのが一つあると思いますよね。
例えば大量採用とかをやっているような会社だと比較的未経験でも採用されやすいと思います。
ただし、募集背景はチェックしておいた方がいいと思いますね。
事業拡大に伴って募集するとか、今までそのポジションにいた人が抜けたから募集している場合もありますよね。
事業拡大のために大量採用するのは当然ですけど、欠員補助の場合はもしかすると、ネガティブな理由で退職したかもしれないし、
大量採用しているのは、職場環境が悪くて離職率が高いからかもしれませんよね。
以前、ブラック企業でないところをしっかり選んでいく事がまず重要とお話ししたように、募集背景とかを調べながら考えていくことが大事ですね。
ー以前ブラック企業の見分け方についてもお話しいただきましたね。
関連記事:企業分析が必要不可欠!良い転職のためにチェックすべき4つのポイント
あとは、未経験でもチャレンジしやすい業界や職種を選ぶことも重要ですよね。
ー未経験でも始めやすい職種にはどんな職種がありますか?
未経験歓迎で採用している職種は、営業に関わる仕事が一番多いんですよね。
ハードルという観点だけで見ると、エンジニアとかクリエーターとか何らかの技術が必要なものよりは、あまり技術的なものを必要としない営業職なんかを狙うとハードルは低くなりますよね。
ただ、エンジニアは多少入社前もしくは入社後に技術を習得する必要はありますけど、人材ニーズが高いポジションですよね。
エンジニア職っていうのは、比較的転職しやすいし、むしろ奪い合いの業界でもありますよね。
これはまだまだ当面続くと思いますので、エンジニアになるのもありですよね。
ー未経験でチャレンジしやすい職種は他にはありますか?
その人の経験にもよりますが、これまでやってきた仕事と親和性が高い職種だと転職しやすいですね。
例えば、傾聴やコミュニケーションが求められる店舗スタッフや営業は当然ですけど、塾の室長さんとかもそうですね。
アルバイトの管理をしているような人、販売職の人とか、お客さんの要望を引き出して対応できるような人は、比較的未経験でもチャレンジできる求人があると思いますね。
コミュニケーション能力はどこでも活かしやすいですからね。
ー参考になるような何か具体例はありますか?
そうですね、例えばですね。
携帯の販売あるいは量販店で、お客さんがこういう悩みがあるから「じゃあこの商品がいいですよ」とか提案をしていた場合ですよね。
そうすると、客観的に話ができて、お客さんのニーズを引き出して、最適なソリューションを提案できる人だねっていう評価で、人材業界のキャリアコンサルタントに転職したパターンがあります。
お客さんが人材だとすれば、希望に合った企業を紹介するというベースは持っている人だよねっていう評価になって採用が決まったそうですね。
全く違う職種に見えますが、お客さんの要望に答えるところが共通していますよね。
今まで経験した仕事の中で身についたスキルを活かせる仕事だと、未経験からチャレンジしやすいですね。
ーそう考えるといろんな選択肢がありますね。これまでの職務経験を活かす方法は他にもありますか?
そうですね、異業種でも軸は同じパターンがありますよね。
ユーザー側になるのかベンダー側になるのか、立場が変わる場合ですね。
人事からキャリアコンサルタントへの転職や経理から経理コンサルタントへの転職もあるし、経営コンサルタントが、事業会社とか経営企画になる場合もあります。
こう考えると色々ありますよね。
逆の立場になることでキャリアの幅も広がり、キャリアパスもちょっと変わってくるという事ですよね。
そういう意味では異業種への転職は奨励したいですね。
ーキャリアの軸を変えずに業界または職種、立場を変える転職ですか?
そうですね。
キャリアチェンジする場合は年収が下がることもあるのですが、それほどキャリアの軸が変わらなければ年収が上がる場合もあります。
その上、全く未経験の業界や職種へ転職するよりは、まだハードルは低いと思います。
今までやっていたことを、うちの業界で活かしてほしいという会社も多いので、キャリアとしてはかなり評価されますよね。
キャリアチェンジする際の注意点
ーキャリアチェンジする際にデメリットもあると思うんですけど、注意点とかはありますか?
そうですね。一つだけ気をつけてほしいことがあります。
それは「自分はこういう業界や職種でキャリアを積んでいきたい」という軸を持っておくことです。
20代で自分探しをして何回も違う職種にキャリアチェンジしていると、キャリアに一貫性がなくて、キャリア形成ができない可能性もありますからね。
同じ業界や職種での経験を積んでいかないと、任せてもらえる仕事の幅も役職も上がらないから、年収も上がらないですよね。
ーしっかり自己分析をして、キャリアの方向性を決めた上で転職するといいんですね。
はい。今の仕事が向いていないから「なんか他にいい仕事ないかな?」みたいに漠然と考えているだけでは駄目ですよね。
結局自分が何の仕事をしたいか不確かなまま転職してしまうと、次の会社でも何となくこの仕事ではないなって違和感を感じて、転職を繰り返してしまう可能性もありますからね。
だから、納得のいく転職をするためにも、自分のやりたいことを深く考えてほしいなと思います。
例えば、「どんな仕事がやりたいの?」と聞かれた時に、「本当は、こんな仕事がやりたかったんです」と自信を持って言えるところまで考えておくといいと思います。
キャリアチェンジすべきか迷ったら?
ー最後に、キャリアチェンジを考えている人へ向けて、アドバイスを頂ければと思います。
キャリアチェンジは基本的に20代はいいと思いますし、とにかく自分に向いていないと思ったら変えてみることを検討した方がいいと思いますね。
1回営業をやったからといって「ずっと定年までやる」なんて事は、全く考えなくていいんですよね。
2回ぐらいキャリアチェンジしたって全然問題ないからね。
ただし、何の仕事をしていきたいかっていう自己分析をある程度したうえでキャリアチェンジしないと、後で後悔してしまう可能性がありますから気を付けた方がいいですよね。
「こういう業界で」「こういう職種で」「自分はやってみたいんだけどどうしようか?」という形で、エージェントや友だちに相談してみたらいいと思いますね。
ーありがとうございました!!