この記事は
- 一級建築士の転職方法を知りたい
- 一級建築士の転職先を知りたい
以上のような方に向けて、この記事では2級建築士の筆者が、一級建築士の転職方法を紹介します。建築士の資格に興味のある方は是非参考にしてみてください。
一本槍 満滋
総合建築を行う会社で電気設備・空調設備に関する設計、施工を10年以上担当。その後、公共事業などを多く担当する会社に転職。監理技術者として電気設備における施工管理業務を行う。現在は個人事業主として独立し、電気・空調設備の設計をメイン業務に、工事受注、店舗等の省電力化を図るコンサルタントなども行なっている。また、専門的な見解を踏まえた建築・電気設備に関するライター活動なども行なっている。保有資格:電気工事士2種、電験3種、電気工事施工管理技士1級、建築設備士、建築士2級
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一級建築士の転職は難しい?
一級建築士の転職は難しくありません。
年齢が若いうちであれば、引く手あまたな事は間違いありませんが、実力と経験を持った人であれば年齢など関係なく、転職やヘッドハンティングの対象となります。
一級建築士資格が転職に有利な理由
一級建築士資格が転職に有利な理由1:資格を持っていることで携われる仕事が広がる
一級建築士資格を持っていることで、携われる建物の大きさや階層が広がります。
二級建築士の資格を取得することで、建築物の設計、監理に携わることができます。しかし、建物の大きさ、階層によっては設計できる範囲に制約があります。
木造の建造物では300㎡以下。木造以外の建物では100㎡以下且つ地上3階建てまでの建物までとなっています。
一方、一級建築士は、延べ床面積で500㎡を超える建物や、学校や病院、映画館、百貨店などの建物の設計、監理に携わることが可能です。
そのため、広い業務範囲をカバーできることから、選択肢が広がります。
一級建築士資格が転職に有利な理由2:一級建築士の資格の所持者の減少
一級建築士資格が転職で有利になる理由の2つ目は、一級建築士の資格の所持者の減少です。今後もダムや、道路、発電所等のインフラの整備など一級建築士でないと携わることの出来ない業務は絶えず生まれてきます。
現在、一級建築士として活躍されている方も、これから一級建築士を目指す人も将来性のある職業と言えます。
一級建築士を活かせる建築業界の転職先
一級建築士を活かせる仕事・転職先には、ゼネコン、デベロッパー、建築設計事務所、ハウスメーカーなどがあります。
一級建築士を活かせる建築業界の転職先1:大手ゼネコン
一級建築士の転職先として第一にあげられるのはゼネコンやサブコンなどの大型の建造物を設計する会社になります。
一級建築士は設計できる階層や広さに限界がないため、ビルや、橋梁工事、ダム工事などに従事できる事が強みです。
大きな会社はそれだけ多くの設計士を抱えているため、転職が難しいとも言われておりますが、今後も続く一級建築士不足のため、現在では大手でも転職希望者を募る傾向があります。
就業後の業務は設計業務より、施工監理業務が多くなる傾向がありますが、監理を続ける中で実力を示してゆく事で、設計部門への転属の見込みもあります。
住宅を専門で設計してきた方がゼネコンへの転職をすることは難しいと言われて来ましたが、今後はチャンスが訪れます。
大型の建造物を建てたいと、夢を持って建築士を取得した方でしたら、是非目指してください。
一級建築士を活かせる建築業界の転職先2:デベロッパー
土地建物を扱うデベロッパーや不動産会社も建築士の資格を活かせる職業になります。
業務内容としては現地調査を行なったり、マスタープランの作成やコンサルティングの役割を果たす事になる為、本来の建築士としての業務である製図や工事監理などでは少なくなります。
六本木ヒルズ計画や商業施設の開発業務に興味があり、営業や法務、総務管理などに幅広い知見をお持ちであれば、デベロッパーとして大成する可能性をお持ちです。
大手のデベロッパーであれば、ゼネコンと対等に肩を並べてまちづくりに大きく貢献できる楽しさを持ちます。
あわせて読む:デベロッパーに強い転職エージェントおすすめ7選
一級建築士を活かせる建築業界の転職先3:建築設計事務所
建築設計事務所には組織系設計事務所とアトリエ系建築事務所とに分けられます。
アトリエ系建築設計事務所では意匠設計をメインで行います。対して、組織系建築設計事務所では意匠、構造、設備を部門に分けて配属している形の設計事務所になります。
どの分野で活躍したいのかを明確にした上で、設計事務所を選択すると良いでしょう。
中でも意匠設計は建築士業務の花形とも呼べる業務内容です。美しいディテールで設計された構造物は一つの芸術作品になります。そんなデザイン設計を行う業務が意匠設計です。
自分自身の空間把握能力、美的感覚を最大限に生かした仕事を望むのであれば設計事務所に転職をして、その才能を伸ばしてゆく事が建築士として大成する道筋になります。
一級建築士を活かせる建築業界の転職先4:ハウスメーカー
ハウスメーカーにも多くの一級建築士が在職しております。
建築士の中でも特にコミュニケーション能力が求められる業種になるので、友人が多く、人付き合いの得意な方にはぴったりです。
人の生活を思い浮かべて、効率的な導線設計を考慮し、幸せな団欒を作り出すお手伝いをする。それは、そこに暮らしてゆく家族の未来を建築するようなものです。
ハウスメーカーでの設計業務は大変夢のある素敵なお仕事です。
一級建築士を活かせる建設業界以外の仕事
一級建築士を活かせる建設業界以外の仕事1:鉄道会社の施工管理業務
建設業界以外で一級建築士の資格を活かせる仕事には、鉄道会社の施工管理業務があります。
鉄道会社には建築部門があります。駅を作る際、その駅に併設する商業施設を作るなど新築に関わる業務があります。
また増設や改修業務では、利用者の利便性を考慮した歩行者通行路のバリアフリー化や、エスカレーターの設置をするなど生活社にとっての景観、快適性、安全性を熟知した建築士ならではの仕事です。
住居の設計などでは無く、インフラ業界で人の役に立つ設計士でありたいと思うのであれば、鉄道会社の門を叩くのも良いですね。
一級建築士を活かせる建設業界以外の仕事2:不動産営業
不動産業は建築物や土地の売買に係る仕事です。そのため建築士を取得していれば、物件を買いたい(借りたい)方に対して安心感と説得力を与えることができます。
また、お客様やオーナー様のニーズに対して自身の見解を踏まえたアイデアを提案する事もできるので、営業職としての業績アップにも繋がりやすいでしょう。
アパートなどの退去の際にも様々な建築物に触れてきた一級建築士であれば、部屋の修繕方法を安価に済ませられる利点があります。
また、築年数、耐用年数に対して入居者の意見を法規を交えながら、適切にオーナー様にお伝えする事が出来ます。
一級建築士を活かせる建設業界以外の仕事3:旅行会社
建築士であれば設計職以外にもそのノウハウを活用できる職場は多くあります。その中の一つが旅行会社では無いでしょうか?
一つのツアーの中には多くの建物をめぐるタイミングがあります。その中で、建築物に関する知見や歴史を冗談を交えながら説明できたとしたら、面白いと思います。
特に海外旅行でスペインでのガウディの建築物や、フランスのアルザス地方で有名な木組み造りの家など、マニアな視点かもしれませんが需要があります。
一級建築士を活かせる建設業界以外の仕事4:出版社
建築物に関する書籍は数多くあります。また、建築士や建築設備士などの資格取得に係る専門書を制作する会社もあります。
そのため、建築系書籍の出版社への転職には、建築学科の出身であったり、設計事務所やゼネコンなどで一定以上の経験を持っている方でなら即戦力になることも可能でしょう。
建築士は建築物を完成させるために多くの資料作りをしなくてはならないので、文章作成も一定以上のレベルを満たす方が多いです。
一級建築士を活かせる建設業界以外の仕事5:キャンピングカー製造メーカー
同じ設計職にはなりますが、車業界でも建築士の知識は活かす事が可能です。キャンピングカーを製造するには綿密な構造計算が必要です。
また、限られたスペースの中で快適に過ごすためには、デッドスペースになる部分に収納棚を儲けたりと建築士ならではの視点が活きてきます。
現在ではDIYして個人でキャンピングカーを作成する方も多くいらっしゃいますが、強度の問題で上手くいかない事が多いためキャンピングカー専門のメーカーが増えています。
キャンピングカーの製造者に建築士の資格が必須になる日も来るかもしれません。
20代一級建築士の転職活動のポイント
20代の一級建築士の転職のポイントは、若年者故の凝り固まっていない発想力と願望、建築物への好奇心です。
また、現場での柔軟な対応力があるのか?設計変更などに対して冷静に判断、対応ができるのかなども求められるスキルになってきます。
そのため面接官から聞かれた事には熟考しながらも明確な事を返す事ができるか、建築全般に関する知見や経験は広いか、また日頃から勉強熱心であるかなどの点を見られる事になるでしょう。
自分自身の考え、見方をきちんとした言葉で返せるようになると好印象を与える可能性が高いでしょう。
以下の記事では、20代一級建築士向けの転職エージェント、転職先選びのポイントについても解説しているので、あわせて読んでみてください。
あわせて読む:20代の一級建築士が転職するには?転職エージェント3選を紹介!
30代一級建築士の転職活動のポイント
30代一級建築士の転職者と20代での早期の転職者との違いは、根気と経験を兼ね備えているという部分です。
特に30代で転職を考える際は将来への展望、今後携わりたい建物の規模、建物の構造の種類が明確で、そのために転職活動を行なっているという事がプラスに働く転職理由になります。
中途半端な理由、マイナスな退職理由はイメージを落とす原因になりますので、転職先で何が出来るか、何をやっていきたいのかを発言できるようにしておきましょう。
また、やりたい仕事を伝える上で取得したい資格、経験がある場合はそれらを伝える事も好印象を与えやすいでしょう。
あわせて読む:30代の一級建築士が転職するには?転職エージェント3選を紹介!
女性一級建築士の転職活動のポイント
一級建築士として働かれている女性の強みは、細やかな気遣いができることです。設備設計や意匠設計においても細やかな気遣いがみられたりする事で計画そのものをスムーズに遂行する事ができます。
またデザインにおける男性性と女性性の違いによって、他企業との差別化を図るチャンスを産みだすことができます。
特に戸建の設計においては妊婦さんや子育て、家事、炊事を行う事をベースとして考えられる設計ができるため、女性の一級建築士のデザインは人気があります。
あわせて読む:女性の一級建築士が転職するには?転職エージェント3選を紹介!
建築士の平均年収
建築士の年収で検索すると1,000万円以上も可能など、高収入な転職情報も多々あります。実際に全国での建築士の平均年収は620.4万円で、一級建築士だけでの平均年収は700万円前後になります。
高収入が望める転職先としましては大手ゼネコンが第一になってきます。大手ゼネコンでは40代中頃には年収1,000万円も夢ではありません。
企業規模に偏る年収ではありますが、中小のハウスメーカーや設計事務所勤務でも、実力を磨き、自らの顧客獲得、知名度上昇によってはかなりの収入アップを望めます。
実力主義ではありますが、着実な実力と確かな知名度を武器に独立開業をしていく方も多い夢のある業界になります。
一級建築士の転職でよくある質問Q&A
- 一級建築士がホワイト企業に転職することは可能ですか?
- 一級建築士は、ホワイト企業に転職することは可能です。なぜなら、一級建築士は実務経験や合格率約10%の試験への合格が必要となる取得難易度が高い国家資格であるため転職市場でも高く評価され、ホワイト企業と言われる人気企業への転職へも有利に働くからです。
以下の記事では、ホワイト企業へ転職するための転職先選びのポイントについて解説しているので、ホワイト企業を見分ける方法を知りたい方は読んでみてください。
あわせて読む:一級建築士がホワイト企業へ転職するには?転職先選びのコツを解説!
- 一級建築士が大手企業に転職するには、どんなことを意識すればいいですか。
- 一級建築士が大手企業に転職するには、即戦力となる経験・スキルを持っていることがポイントになります。
一級建築士でも人によっては単一躯体の設計の経験を持たない方も多いです。例えば住宅メインで設計していると鉄骨造りやコンクリート造りの経験を得られません。
大手企業では高層ビルや大型施設などRC造やSRC造などの設計が多くなります。公共案件の施工監理を行う、書類や法規に強いなど大きな施設を手掛けられる力量と経験を身につけ、大手企業に入社しても即戦力となり得る力を手に入れる事が必須となります。
とは言え、一番簡単な転職方法は大きな現場を手掛けるうちに大手企業の方との繋がりを作り、転職への足がかりを作ってもらう事です。
以下の記事では、一級建築士の転職先大手企業についても解説しているので、あわせて読んでみてください。
あわせて読む:一級建築士が大手企業へ転職するには?転職エージェント3選
一級建築士資格を活かせる転職先を探すなら、建設業界に強い転職エージェントに相談するのがおすすめです。
次は、建築業界に強い転職エージェントおすすめ3選を紹介します。
建築業界に強い転職エージェントおすすめ3選
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